茨城県を拠点に活躍する「エガオー」
なんと、似顔絵を描くヒーローが東西にいたとは。
“エガオー”とは、茨城県にある似顔絵制作、キャラクター制作、似顔絵師のマネジメントなどを行う「株式会社 野中工房」が生みだしたキャラクター。そしてエガオーの生みの親であり“中の人”は、野中工房の代表取締役である似顔絵師の野中迪宏(のなか・みちひろ)さん(32歳)。
前代未聞のヒーロー「エガオー」は、いったいどのようないきさつで誕生したのでしょうか。
「僕は似顔絵は、向かい合ったお客様が笑顔になるとてもいいものだと思っています。より多くの方に楽しんでもらいたいし、体験してもらいたい。とはいえイベント会場などでは『恥ずかしいからやりたくない』といやがる方もおられます。なので、どうしたら似顔絵がもっと浸透するのかなとずっと悩んでいました。
そんな6年前のある日、仕事でたまたま茨城県のご当地ヒーローに関わることになったんです。ヒーローが現れると、子どもたちは大喜び。その光景を見て『わかりやすいキャラクターがいると、これほど早く興味をひくことができるのか』と気づいたんです」
以来、野中さんは戦隊ヒーローショーを観に行ったりコスプレイヤーが集まるイベントを見学するなどしながら勉強をし、2009年、我流でオリジナルヒーローをデザインし、バトルスーツを自作。人々に笑顔をもたらす、似顔絵を描く文化系ヒーロー「エガオー」が誕生したのです。
神戸の似顔絵師であるあさむらゆきさんと茨城県生まれの「エガオー」が出会ったのが2010年。毎年4月に名古屋「オアシス21」の銀河の広場で開催される日本唯一の席描き似顔絵師の競技大会「似顔絵竜王賞」でのこと。自身も選手として出場したあさむらさんはこの日の衝撃を、こう振り返ります。
「大会前にエントリー選手の顔の一覧を見ていたら、人間ではなくヒーローがひとりいたんです。私はそのときは『自分のことをヒーロー風に描く絵師さんなのかな?』って程度の感想しかいだかなかった。
ところが会場へ行ってみたら、あの絵のまんまの、本物のヒーローがいるじゃありませんか。しかも筆談でコミュニケーションをとりながら似顔絵を描いている。『なんなのこれ?! なんでみんなツッコまへんの?』って、もう驚いちゃって。そしていっぺんにファンになってしまったんです」
エガオーにひと目惚れしたあさむらさん。それまで野中さんとは面識がなく、中の人が誰でどういう人なのかもまるで知らないまま、ネットを通じて熱烈なラブコールを開始。
コメント欄やメールでのやり取りを重ねるうちに「似顔絵を広めてゆきたい」「似顔絵師という仕事があるんだよということをアピールしたい」という想いが重なり、意気投合。そうして茨城県のエガオーに続き、神戸にも野中工房制作による“似顔絵を描く文化系ヒーロー”エガオーピンクが誕生したというわけです。
しかも恋人や妹ではなく、なんと“母親”として。まさか親子だったとは!(女性なのにキャッチフレーズがヒーローなのは、エガオー親子の総称だからなのだとか)。
「私はそれまでヒーローものの知識がなく、みんな派手な格好をしているのに私だけGパンにTシャツ姿でイベントに参加するような地味な似顔絵師でした。だからエガオーピンクに変身するようになって、あまりにもそれまでのキャラと違うので、似顔絵師仲間たちは『どうしちゃったの?』ってビックリしていました。
もともと裏方志向で人前に出るのが苦手だったんですが、エガオーピンクに変身することで、似顔絵への愛情をもっと素直に伝えられるようになったんじゃないかな。エガオーピンクになって子供たちが喜んでくれるのを見ると、テンションが上がりますし、やってよかったなと思います」
最近ではウワサがウワサを呼び、遠く鹿児島や東京からもファンが駆けつけるほどの人気に。そしてあさむらさん自身もイベントの前日や当日は「楽しみすぎて寝られない」「楽しみすぎて目覚まし時計より早く起きる」ほどエガオーピンクへの変身を心待ちにしている様子。
エガオーピンクは、誰よりもまず、あさむらさん自身に笑顔を運んできたんですね。
さて、そんな似顔絵を描く文化系ヒーロー、エガオーとエガオーピンク、東西の両雄が揃う貴重な機会があります。
それが4月11日(土)12日(日)に開催される「名古屋・似顔絵楽座」。
全国の人気似顔絵師たちが名古屋に一挙集結。エガオーピンク誕生のきっかけとなった、お客様が審査員となるオープンな競技大会「全日本似顔絵師グランプリ 似顔絵竜王賞」も同時同所にて開催。
ぜひ会場に足を運び「似顔絵シーンって、いまこんなにアツいんだ!」と驚いてください。きっと会場中、ホホエマシウムエナジーでムンムンですよ。
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似顔絵楽座 第9回全国似顔絵師グランプリ「似顔絵竜王賞」2015
株式会社 野中工房