狭い部屋に住んでみたり、あえてロースペックなものを使ってみたり。世の中には、流行には至らなくても、好きで続けている趣味や暮らし方がたくさんあります。“トレンドじゃないし、誰にでも理解されるわけではないけれど、私はこういうのが好き”。そんなふうに思える、多様でタイムレスなライフスタイルを取り上げます。

青々としたキュウリに、大量のジャガイモ……。

これらの野菜は、すべてたった一坪の家庭菜園でつくられ、収穫されたもの。その家庭菜園の持ち主は、テックメディア「ThunderVolt」で編集長を務める村上タクタさんです。

これまでオートバイやラジコン飛行機、サンゴ水槽、ガジェット、園芸など、ニッチな専門誌の編集をしてきたタクタさん。

さらに、IT・ガジェット系メディアを立ち上げて今年で16年。10年前の2016年からは、iPhoneの発表会やWWDCのために、米カリフォルニアのアップル本社にも招待されています。

iPhoneの新製品発表会に呼ばれたときのプレスパスを記念に残している。メディアである前にマニアなのだ

そんなタクタさんが暮らすのは、横浜市の住宅街にある3LDK+ガレージの賃貸一軒家。ベランダの下には、たった一坪ほどの家庭菜園がひっそりと佇みます。

photo by 村上タクタ

「動物にとって不要な成分や、生活するなかで出る生ごみが肥料になり、それを栄養に植物や野菜が育つ。その自然のサイクルを回すシステムづくりがガジェットチックでおもしろい」(村上タクタさん、以下同)

デジタルな仕事とアナログな趣味が同居するタクタさんの生活。そんなテックメディア編集長なりの、家庭菜園の楽しみ方を伺いました。

野菜づくりにも活かせる、テックや魚飼育の知識

タクタさんがこの家に引っ越してきたのは数年前のこと。昔から大好きだったオートバイにもう一度乗り始めようと思い立ち、ガレージ付きのこの家に辿り着きました。

首都圏の賃貸では珍しいガレージ。趣味の車やバイク(撮影時は試乗車)、キャンプ道具や3Dプリンターなどが置かれている。ロードバイクは息子の趣味
photo by 村上タクタ

ここに引っ越してきた一番の理由は、オートバイを置けるガレージがあったこと。それに加えて、ベランダ下にはちょっとした空き地もありました。なので、この家を拠点にオートバイや園芸など、いろいろな趣味を始めたら楽しそうだと思ったんです

最近になって購入したオートバイ「BMW R1300GS ASA」
photo by 村上タクタ

かつて園芸の本を制作していた際、小田原の荒地を開拓して畑を築いた経験もあるタクタさん。そんなタクタさんが家庭菜園をつくるにあたり、まず着手したのは土地を耕すところからでした。

庭木の剪定や雑草取りから始め、約半日をかけて埋まっていた切り株を引っこ抜き、土地を整備。全自動のスプリンクラーも設置して、留守中のお世話にも抜かりはありません。

さらには、畝までつくり作業の効率化を図ったり、生ごみを肥料に加工したりと、かなり本格的なつくり込みです。

実際には引っこ抜いたというよりも、地中深くの根から切り取ったそう
photo by 村上タクタ

生ごみは、Dreameの生ごみ処理機でフレーク状にしたあと、コンポストに入れて熟成させ肥料に

野菜を育てるためのこうした環境づくりには、今まで培ってきたタクタさんの経験や知識が活かされています。

以前、テクノロジーと農業を掛け合わせた“アグリテック”の取材をしたことがあり、そこでは土壌やトマトの水分量を測定して収穫や品質を管理していました。

僕の畑はたった一坪なのでそこまではしませんが、全自動スプリンクラーで水撒きをしたり、生ごみを加工処理したり、“野菜を育てるためのシステム構築”には、そうしたテック系の取材で得た、知識や経験が活きているかもしれません

また家庭菜園に活かされているのは、テックの知識だけではありません。かつて専門誌の編集で学んだ、サンゴや海水魚の飼育に関する知識も、家庭菜園に通じるものがあるといいます。

水槽で魚を飼うためには、硝酸や亜硝酸といった窒素化合物を、水から取り除くことが必要なんです。それらは、魚や我々を含む動物には必要な物質なので、魚のエサの主成分でもあるのですが、フンとして排泄されると水質が低下し、魚を死なせる原因になります

以前、サンゴを飼育していた約300リットルの海水魚水槽。飼育の難しいサンゴを飼育するために、水槽用クーラー、プロティンスキマー、メタルハライドランプなどの機材を使っていた
photo by 村上タクタ

しかしおもしろいことに、魚の糞は、水耕栽培の肥料として活用することができるんです!

動物が必要としない物質が、植物にとっては養分になる。家庭菜園では、その自然のサイクルを実際に体感できるのが楽しいですね。それに、こうした生態系の循環や野菜を育てるためのシステムづくりは、ガジェットチックなところもあって、つい極めたくなっちゃうんです

デスクワーカーにこそ、家庭菜園をオススメしたい!

土地を耕したり、スプリンクラーを導入したり、畝をつくったり……。

一見、本気でのめり込んでいるようにも思えますが、家庭菜園はあくまで「気分転換」くらいがちょうどいいと、タクタさんは話します。

放っておけば、一日中部屋にこもって原稿を書いてしまうので、たまに気分転換で畑をお世話して体を動かす。この棲み分けが、今はとても気に入っています。特に、僕のようにテック関連の仕事をしている人にとって、家庭菜園はデジタルなものから少し距離を置く、いいきっかけになると思いますよ

ワークデスク。肩が凝らないようディスプレイアームで、LGの5Kと4Kのディスプレイを持ち上げ、キーボードはHHKBを使っている。BenQのモニターライトで明るさを調整。デバイス充電用の電源も多数設置し、作業がしやすいようシステム化されている

原稿執筆の合間に、畑のお手入れ
photo by 村上タクタ

仕事ではテクノロジーの最前線を取材して、デスクに向かって原稿を書く。そして息抜きに外へ出ては、畑や野菜の世話をする。このデジタルとアナログのバランスこそ、タクタさんが家庭菜園にハマる大きな理由の1つとなっています。

また自分で手塩にかけて育てた野菜だからこそ、その味も格別。“おいしい野菜が採れる”というのも、家庭菜園にハマる、シンプルながら強い理由のようです。

自分でつくった野菜は味が濃い。「トマトってこんな味がするの!?」と衝撃を受けます(タクタさん)
photo by 村上タクタ

ゆくゆくは、より大きな家庭菜園を

3LDKのお家にひっそりとつくられた家庭菜園。今はたった一坪ですが、将来はもっと広い畑で野菜づくりを楽しむ構想もあるのだそう。

妻の実家が姫路にあり、そこなら広い家庭菜園もできそうです。将来はその土地の横に書斎とガレージを合わせた秘密基地を建て、原稿を書きながら空いた時間で農作業をするのもいいなぁと

何はともあれ、家庭菜園自体は続けたい。自分で食べる野菜を自分でつくるという体験自体が、やはりおもしろいですからね

一見すると正反対にも思える、ガジェットと家庭菜園。

けれど、仕組みを知り、自分なりに工夫しながら楽しむタクタさんにとって、そのふたつは意外と似ているのかも?

ただ野菜を育てるだけでなく、その仕組みや過程にもおもしろさを見出す。そんなガジェット好きならではの、家庭菜園の楽しみ方が見えてきました。

価格および在庫状況は表示された10月03日20時のものであり、変更される場合があります。本商品の購入においては、購入の時点で表示されている価格および在庫状況に関する情報が適用されます。
この記事のリンクを経由して製品を購入すると、アフィリエイト契約により編集部、制作者が一定割合の利益を得ます。

ROOMIEは、「おうち」に関するあらゆる情報を発信するWEBメディアです。日々の暮らしを肩肘張らずに楽しむ新しいスタイルを提案し、実際の体験に基づいたお部屋の紹介、製品レビュー、生活のヒント、コラムなど多彩なコンテンツを展開しています。インテリアや日用品、DIY、家事の工夫など、暮らしに役立つ実用的な情報を豊富に取り揃え、読者が日々の生活を少し豊かにするためのアイデアを提供しています。