本学大学院工学系研究科博士前期課程環境学専攻2年次生の黒田日向子さん(広島県立広島井口高等学校出身/広島県)が、2026年10月10日に広島シャレオで開催された木材活用アイデアコンペ「TO-KI Timber Shift Award」で、最高賞となるグランプリを受賞しました。


受賞作品「水のあいだ」は、自然を単に取り込むのでも遮断するのでもなく、人と自然との新たな距離感を提案した作品です。現代の住まいと自然との関係性を見つめ直す独創的な発想が評価され、グランプリ受賞につながりました。

プレゼンに使用した模型を前に、表彰状を手にする黒田さん

■木材の新たな可能性を探るアイデアコンペ
「TO-KI Timber Shift Award」は、広島県木材組合連合会の第50回総会記念事業として発足した「ひろしま木材研究会 TO-KI」が主催する学生向けの木材活用アイデアコンペです。


「〇と木」をテーマに木材の新たな可能性を探るもので、第1回となる今回は「水と木」をテーマに開催されました。県内外から多くの応募があり、一次審査を通過した5組が最終審査会でプレゼンテーションを実施。グランプリ作品は実際に制作・展示される予定で、学生のアイデアを社会実装につなげることも特徴です。

表彰式後の記念撮影

受賞作品「水のあいだ」について取材に応じる様子

■「自然とのあいだ」をつくる提案「水のあいだ」
黒田さんが提案した作品のテーマは「水のあいだ」。快適性を追求する一方で、自然との接点が薄れつつある現代の住まいに対し、人と自然の新たな関係性を提案した作品です。


着想の原点となったのは、日本の住まいに古くから存在する「縁側」です。黒田さんは、縁側が風や光、雨などの自然環境を受け止めながら室内との距離を調整してきた点に着目し、その役割を現代の集合住宅の中で再解釈しました。


提案では、住戸とバルコニーの間に網戸のような木製建具を設置。木が水を含むことで色や表情が変化する性質や、湿気を吸収・放出する特性を活かし、自然の変化を感じられる「環境のフィルター」として機能させます。


風の変化や雨の気配、湿度の移ろいなど、これまで見過ごされがちだった自然の小さな変化に気づくきっかけを生み出すとともに、自然を取り込むのでも遮断するのでもなく、「人と自然との距離を調整する」という新たな住まいのあり方を提案しました。

受賞作品「水のあいだ」のプレゼンテーションボード1.

 受賞作品「水のあいだ」のプレゼンテーションボード2.

■黒田さんのコメント
これまで授業やコンペでは建築の設計に取り組んできたので、プロダクトデザインはほとんど初めての経験でした。新鮮で、とても楽しかったです。


一方で、ものがどのように使われ、周囲にどのような風景が生まれるのかを想像しながらデザインするという点は、建築と共通しているのだと感じました。


また、講評を通して木材の重さや加工方法など、実際に製作する段階で考慮すべき課題にも気づきました。アイデアを形にするためには、デザインの魅力だけでなく、素材の特性や実現可能性まで含めて考えることが大切なのだと学びました。

模型を用いて、自然の変化を感じられる住まいへの思いを語る黒田さん

■実制作を通じてさらなる学びへ
グランプリ受賞作品は、2027年5月の完成に向けて実際に制作される予定です。制作過程では、黒田さん自身も打ち合わせなどに参加しながら、作品の実現に取り組みます。黒田さんは「さまざまな方と協力しながら、アイデアを実際の形にできるよう取り組みたい」と意欲を語ってくれました。


また今回の経験を通じて、素材そのものの性質や環境との関係性、実際に手を動かして試行錯誤することの面白さを改めて実感したといいます。今後はこうした視点を修士研究にも取り入れながら、素材と環境の関係性から建築のあり方を探究していく予定です。


▶工学系研究科 博士前期課程 環境学専攻
▶環境学部 建築デザイン学科


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