ロシア・サンクトペテルブルクを拠点とする世界最高峰のバレエ団、マリインスキー・バレエの3年ぶりの日本公演がいよいよ始まる。翌日からのツアー開幕を前に記者会見が行われ、ユーリー・ファテーエフ芸術監督のほか、プリンシパルダンサー5名、ソリスト2名が登壇。公演への意気込みを語った。
ウラジーミル・シクリャローフは稽古着姿のまま参加。前回はケガのために『ロミオとジュリエット』の公演を降板したことに触れ「今回は全ての演目に出演して、踊りを全うしたいと思います。全力を尽くして、観客の皆さんの心に残るようにしたい」と話し、今や看板プリマのヴィクトリア・テリョーシキナは「日本の皆さんがマリインスキーの古典を正しく評価してくださっているのがうれしい」とコメント。「日本の皆さんはフェッテ(回転技)が大好きですよね。今回の演目はフェッテが満載で見ごたえがあると思いますよ」と場を和ませる。
キミン・キムは今年5月、ウィーン国立バレエ団来日公演でゲストとして踊ったことにふれ「観客の方たちにとても気持ちよく迎えていただき、また日本で踊りたいと思いました」。また日本凱旋公演にのぞむ永久メイを気づかい、自身の経験を踏まえて「母国での公演は緊張するもの。僕たちが全力でサポートしたい」と温かい一言を。来日公演が9年ぶりとなるアリーナ・ソーモワは、ふたりの子供の母となり、家族には海外では踊らないと宣言していることを告白。「でも日本の温かい観客の皆さんが待ってくださっているので、来てしまいました。今回は貴重な機会になります」。前回に続いて『白鳥の湖』を踊るエカテリーナ・コンダウーロワは、「『白鳥の湖』は観れば観るほど面白くなる演目」と話し、マリインスキーの魅力を「バレエはソリストだけで成り立つものではない」と、コールド(群舞)の揃った動きの美しさを挙げた。
今後を担う若手ソリストの筆頭、レナータ・シャキロワは10年以上前のワガノワ・バレエ・アカデミーの日本ツアー以来。「バレエ団のメンバーとして初めての来日で、ドキドキとワクワクでいっぱい」とにこやか。そしてマリインスキー団員として初の日本公演となる注目の永久メイ。「東京文化会館で踊るのは初めて。こんなに大きな劇場で踊ることに緊張しています」と初々しく話し、マリインスキーの魅力を「スタイルが完璧に揃っていますし、上半身の使い方が素晴らしい。私は今も勉強中です」と挙げた。
ファテーエフ監督は、ガラの演目について触れ「バレエ団では若い振付家を養成する活動を行っており、若い振付家にチャンスがあることが劇場全体の高揚感にもつながっている」と話し、他国出身のダンサーが増えていることについては「過去にはダンサーが西側へ出て行く現象がありましたが、今は逆のことが起きている。海外で学び、マリインスキーで成長したいと思う才能あるダンサーが増えているのは喜ばしいこと」とコメントした。本公演は11月28日(水)から12月9日(日)まで上野・東京文化会館にて行われる。
取材・文:郡司真紀