《清少納言》藤原定子副社長(皇后)の元でのOL生活(宮仕え生活)をブログに綴り、一躍人気ブロガーとなった。社内(宮廷)の男性からは「生意気だけれど、メール(実際は和歌)を交わすと打てば響くって感じで面白いよな。他の秘書たちはお堅いけれど、あいつはキワドイ内容も知性で対応するあたりさすがだよな」と評判です。
清少納言が詠んだ歌に「夜をこめて 鳥のそら音ははかるども よに逢坂の 関はゆるさじ」というものがあります。なんだか小難しいことを言っているようですが、これは同僚男との和歌のやりとりの中のひとつです。
要は、
同僚男「昨日は良かったよ(ただの飲み会)」
清少納言「ちょっと!ヤッたみたいに言わないでくださいよ!」
同僚男「あれ?やらなかったっけ?」
清少納言「私、簡単にはさせませんよ!」
という、今でもよくある軽い下ネタが入った冗談のやりとりなのです。
漫画のあとに“ホントはこんな話”とわかりやすく事実に基づいた解説もあり、歴史が身近にわかりやすく感じられる作品です。
「乙女の日本史」/堀江 宏樹・滝乃みわこ著/角川文庫
乙女目線で、古事記の頃からの日本史が描かれています。古事記の頃からすでに面白く、昭和まで読み解かれているのですが、その中でも興味深い一部を紹介します。
鎌倉時代に活躍した源頼朝・義経兄弟が史上で有名ですが、その兄弟のまさに正反対の性格の特徴・物語が描かれています。
《源頼朝》は、後白河院の愛人(美少年好きだったよう)とも言われ、少年期から都で政治の裏側を見て来て冷めた性格に…。
ゆえに、体よりアタマが切れる政治家タイプで、冷徹な性格だったようです。
対する《源義経》は、一言で言えば山育ちの単細胞。
抜群の運動神経で、小柄で色白、落ち目になってもモテモテ。ただ素直だがおバカだったため、正反対のこの兄弟2人は水と油の関係だったようで、のちに義経は、頼朝にうとまれて自害してしまいます。
頼朝は、その何年か後に落馬して死亡しますが、義経の霊が祟ったのかもしれません、という興味深い著者の推測も加えられています。
この本には、歴史好きの中ではときおり騒がれる《上杉謙信女性説》の具体的理由も描かれていています。
まず上杉謙信の最大の謎は「なぜ結婚せず世継ぎも設けなかったか」というところです。その時代には、異例どころかやってはいけないことでした。
その謎がある中で、他にも多数疑惑のエピソードがあり、それによって彼の女性説はどんどん深まっていくのです。
例えば、彼は1ヶ月に1度、毎月10日前後に必ず腹痛で気分が悪いといって、合戦をとりやめているそうです。これに関しては、この腹痛は女性の月のものなのでは…という論争が後に起こっています。他のエピソードとしては、その頃ビジネス書として読まれていた「源氏物語」(女性の取り合いを、下克上の先取りという意味で読まれていた)を、彼は泣きながら異常なほど愛読していたことや、ピンクなどの派手な衣装を好んだ等あり、女性っぽいという疑惑が浮上していったそうです。
歴史は、教養必須科目として教科書で習った人が多いため、お堅いものと思ってしまいがちです。ただ、このように一人一人の人物のエピソードを知ると、愛着も湧き、歴史をもっと知りたくなりますよね。