コペンハーゲン大学の研究チームが発表した、小言が多いパートナーを持つと、男性は中年期に死亡するリスクが大幅アップするという研究結果が話題となっています。
妻の小言が夫を早死にさせてしまうなんて、妻にとっては大問題です。でも、夫たちが、“ガミガミ”より恐ろしいと思っている“ブチ切れ”の方が、健康には害がないことをご存知ですか? 今回は、元心理カウンセラーの筆者が、その理由を心理学の観点から説明しましょう。
ストレス発散の仕方は、原始時代の生活習慣から来る本能にあった!
男性は、女性に比べてストレスに弱いといわれています。男性が女性に比べてストレスに弱いのは、愚痴を言う習慣がなく、瞬間的に感じたストレスをため込んでしまいやすいからです。実は、古来原始時代より続く、生きるための本能にその原因があるのです。
原始時代では、男性は家族のために狩りに出て、自分よりも大きな動物を獲物にしていました。狩りでは、瞬時の判断が生死を分けます。目の前の危険を回避するために、瞬時に最も効率の良い動きをしなければならないのです。無駄な動きをしたり、迷ったりしていたら、次の瞬間、自分が敵の餌になっているかもしれないのです。
一方女性は、狩りに出た男性の留守中、家族を守るために集団で行動します。生きるためにコミュニケーションをフル活用して、どんな小さな情報も逃さないようにすることが、彼女たちの身を守る術でした。だから、女性は自然とコミュニケーションによって問題を解決することを得意とするようになったのです。
このような身の守り方の違いから生まれた本能が今でも残っていて、大きなストレスを感じた時に、女性はコミュニケーションによってストレスを発散しようとするのに対し、男性はストレスを飲み込んで目の前の瞬間的な問題解決に挑もうと、独りで抱え込んでしまうのです。
ここで重要なのは、原始時代の男性がストレスに悩まされていないということです。
溜め込んだストレスを発散しにくい現代…
そもそも、原始時代の男性にとってストレスとは狩りにおける生死を分ける“緊張”そのものでした。狩りの前の緊張は、いざ敵と戦う時の集中力でもあり、観察・洞察力にもつながるので、命がけの狩りにおいては、ストレスは必要不可欠であり、ストレスを原動力に、敵と戦っていたようなものです。
そして、狩りを終えた頃にはストレスは消え、安堵感で満たされています。このように原始時代の男性は、狩りによって上手にストレスを発散できていたのです。
しかし現在においては、ストレスを感じて脳が緊張状態になっても原始時代のように命がけの戦いに遭遇することはありません。それなのに原始時代の緊張(ストレス)をため込む習慣だけが残り、ため込んだストレスを発散する機会がないまま、自分が攻撃されてしまっているわけです。