誰にでも起こる、「他人への執着」
以下ネタバレを含みますので、出来れば映画を観た後に読んでください。
物語の中で、好奇心旺盛で新しいことやワクワクすることが大好きなヴァネロペは、レースゲーム<シュガー・ラッシュ>に物足りなさを感じ、新しい世界に魅了されていきます。
それに対してラルフはというと、変わらない毎日をヴァネロペと共にいつまでも永遠に繰り返すことを望み、ヴァネロペが新しい世界に魅了されていくのを不満に思います。
ラルフは自分のゲーム、<フィックス・イット・フェリックス>の中で27年間、悪役として友達もいない時間を過ごしていました。
それなのに、前作『シュガー・ラッシュ』を経て、ヴァネロペという最高にかわいくて、楽しくて、クールな女の子と親友になり、6年間毎日遊び歩いてたら、それを失い難くもなる気持ちもわかります。
ラルフのヴァネロペへの執着は、あくまでも「友情」の執着なんですよね。
中学生ぐらいの頃、仲のいい友達が、自分とはあまり仲が良くない友達と遊んでいると、「なんでその子とばっかり」みたいな嫉妬心を抱いた人も少なくないと思います。
少なくとも私はそうでした。
私自身友達が少なかったこともあり、唯一と言っていい友達は他の友達にも好かれるようないい子で、その子が私を置いて誰かと遊びに行ってしまうと、猛烈な妬みと寂しさに襲われていました。
もういっそ私以外と遊ばないで、と思ってしまうほどの気持ちだったので、新しい世界にうっとりするヴァネロペに、怒りにも似た嫉妬心をぶつけるラルフの姿は、非常に共感しました。
学生時代って、世界がすごく狭くて、今自分がいるグループに見捨てられたらどうしようって言う不安が常に付き纏っていて。
今となっては、別に友達の一人や二人いなかろうが生きることに支障はないのに、なぜあの頃は世界の終わりのような気持ちでいたんでしょうかねえ。
映画を観終わってしばらく考えていたら泣けてきた
そして、ラルフにとって、ヴァネロペとふたりだけの楽しい世界は、「学校」よりももっと狭い。
ヴァネロペが居るか居ないかしかない世界を生きているラルフにとって、ヴァネロペを失うことは絶望以外のなにものでもないことを、私は知っています。
映画を観終わってしばらく考えていたら泣けてきたのですが、今まで見たどんなディズニー映画とも違う涙でした。
心が痛くて、怖くて、寂しいよね、ラルフ。
この映画は、「自分は正常な人間関係を自分の力で築いてきました! 今の自分はとってもハッピーです! 」という自覚のある人が見ると、ちょっと伝わりづらいかもしれません。
というか、ラルフに感情移入しづらいかもしれない。
私はリアルの友達0、ツイッターのフォロワーさん数人にだけ仲良くしてもらってるという、人間関係がそこそこ破綻している人間なので、ラルフの気持ちがすっっっごいわかるんですよね。
自分の居場所を他人に委ねてしまうような、誰かに縋らずにはいられない気持ちに覚えがない人が羨ましい。
それくらいヴァネロペを失うまいと健闘するラルフは痛々しくて、昔の自分を見ているようで居心地が悪かったです。
でもヴァネロペの、新しい世界に飛び出したい気持ちもわかるので本当にしんどい。
どちらもに感情移入してしまって、見ている最中本当にしんどかったです。
人間関係って難しいよね。