「背が高くて強い男性」からの解放
ディズニー映画は、そのほとんどが、どれだけ時が経っても色褪せない作品ばかりです。
ですがこの『シュガー・ラッシュ:オンライン』は、絶対に「今」見ないといけない映画なんです。
きっとこの映画は、他のディズニー作品と違い、30年後に見たら「時代遅れ」になると思います。
30年後はiPhoneも今の形じゃないかもしれないし、SNSは全く新しい変化を遂げているかもしれない。
ディズニー映画は半永久的に愛されるエンターテイメントであり、それがディズニーが「ディズニー」たる理由でもあると思うのですが、この作品はそれを投げ捨てているとも受け取れます。
その、ディズニー作品である軸のような部分を投げ捨てでも、この作品には「今」伝えたいメッセージが込められてるんだと思います。
例えば、2018年の今、社会における女性の立ち位置がどんどん変わっていっていますよね。
それは白雪姫だけが「ディズニープリンセス」だった時代から、自分の体1つで船を漕ぎ、村を救うために大海原に飛び出したモアナが最新の「ディズニープリンセス」であるように。
女性だから、で不遇な扱いを受ける時代を終わらせるために、「今」、世界が動いている。
ヴァネロペはレースゲーム<シュガー・ラッシュ>のプリンセスであり、人気のあるメインキャラです。
そんな彼女は単調な毎日に不満を感じ、新しい世界を求めています。
ヴァネロペは魔法の髪も魔法の手も、動物と喋れる能力も、誘拐や監禁もされたことはないけれど、とある一つの理由からディズニープリンセスたちから、「本物のプリンセス」と認定されます。
それは、「背が高くて強い男性に幸せにしてもらったってみんなに思われている」こと。
これ、今までのディズニープリンセスに対する強烈な皮肉ですよね。
ヴァネロペは、これから先、ディズニープリンセスがこんな皮肉を言われなくなるようになるためのプリンセスなんだと思います。
ヴァネロペがヴァネロペであることに、「背が高くて強い男性」は必要ない
『シュガー・ラッシュ:オンライン』でのヴァネロペは、自分のやりたいこと、自分の信じる自分、自分の居たい世界を見つけ、自分の力で夢を叶えていきます。
ところが、変化を求めないラルフは、夢を叶えていくヴァネロペの足を引っ張るようなことをしてしまいます。
あれ、こういうの、現実世界でもよくあるよね。
女性がやりたいこと、居たい世界を見つけることを良しとしない光景を、私自身経験しているし、何度も見てきました。
しかも足を引っ張る方はさもそれが「当たり前のこと」という顔をして押し付けてくる。
そんなの、嘘でしょ?
『シュガー・ラッシュ:オンライン』のクライマックスでは、ディズニー映画らしからぬシーンが続きます。
前作『シュガー・ラッシュ』の甘くかわいい世界は終わり、ヴァネロペは自分の力で、埃まみれの荒んだ世界で戦うことを選びます。
ラルフのためでも、誰のためでもない、自分の願いを叶えるために。
ヴァネロペがヴァネロペであることに、「背が高くて強い男性」は必要ないのです。
ですが、それがヴァネロペとラルフが、親友でなくなる理由にはならないことは忘れないでください。
ラルフは背が高くて強い男性だけれど、ヴァネロペと親友であることにその要素は関係ありません。
この映画のクライマックスは、「夢を叶ようと新しい世界に踏み出す女性」と「その女性の足を全力で引っ張る大きな男性」が出てきますが、それはヴァネロペとラルフの話でもあり、彼らの話でもない。
世界全部の話なんです。
だからこそ、ラルフの決断は素晴らしいものになるのです。