DEZERT・千秋(Vo) 撮影:小松 陽祐/ヘアメイク:関根亜弓

――「市場価値」ってことですか。

千秋:CD売れない時代とかバンドが食っていけない時代だとか色んな人が言ってるみたいやけど、その前の時代ていうのを知らんし、今しか知らんし、俺は今が厳しい時代とかも思ったことないし、なんかどうでもいい。てか、そんなんネット上で言ってどうなんのって。「CD売れないから買って!」「バンドマンとして生活したいからCD買って! ライブ来て!」なんて言う人の作品、俺なら買わないですね。いくら良くても。

「無料配布」で曲を安売りするなって言われても1番コストのかかるPVを発売前に放映するのが当たり前の業界なのに何言っちゃってんのって。「(無料配布は)客寄せパンダ」って言われても別にそこまで考えてないし俺自身面白いなって思う限り続けますよ。無配じゃないと生まれない曲もあるし。

――そういう意味の付け方が面白いと思うんですよね。千秋さんがどうしてそういう考え方になったのかすごく興味はあります。

千秋:こーやって俺個人をフィーチャーしてくれるのはありがたいけど、俺ひとりだとライブハウスにも立てないし曲すら作れないからね。

――この4人だからこそだと。

千秋:結局僕はたとえば今死んだらみんなどうするんですか? 俺が好き勝手やります、っていうと困るのは僕だけじゃないでしょう。ひとりだったら面白いことなら出禁になろうが法律に引っ掛かろうがなんでもしますよ。

撮影:インテツ/ヘアメイク:井上佳代

――それはメンバーにも愛着があるってことですよね。

千秋:…そりゃ3年も一緒にやってりゃそうでしょう。死んだら泣くし葬式も行きますよ。誰よりもお金包みますよ。

――いちいちいうことが極端なんですよ。でもいまの発言は「バンド」感のある発言だなって思ったんですけど。お話を伺ってて、現状のスタンスが性に合ってるんじゃないですか。自分に自信がある状態というか。

千秋:どうなんですかねえ、基本的に性に合ってないことをしたことが無いし、自信が無かったことがないんですけど。ははははははははは。

――…今かなり「親の顔が見たい」というレベルなんですけど。

千秋:ウチのお母さん、美人ですよ。

――そういう意味じゃない! 千秋さんは頭の回転も早いですし、おそらくは選択肢がバンドしかない、自分が空っぽだったっていうタイプではないと思うんですよ。

千秋:…僕は空っぽですよ。わざと空っぽにしてる。空っぽの何が悪いんですか? 色々入れちゃえるほど器広くないんでね。満腹になったら何もかも続けられないですよ。一番嫌いなのは「達成感」だから。「達成感」しか残らないことってしたくない。

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