バファローベル公式フォトブック ベルがいっぱい
発行:PHP研究所
発売日:10月28日
価格:本体1100円(税別)
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プロ野球のクライマックス・シリーズが29日から開幕するワケだが、阪神タイガース、オリックス・バファローズが仲良く4位でクライマックス進出を逃し、“暗さMAX”といったところの関西人にとっては、もはやどーでもいい話。しかし、最終戦に敗れて1毛差で4位に陥落したオリックスの “1毛”ってどんぐらいの差やねん! 競馬で言うならハナ差ならぬハナ毛差ということ? 波平の毛がもう1本あれば勝っていたというレベルの話なのか?? そう考えると余計に残念感がこみ上げてくる。
だが、そんな消化不良気味にシーズンを終えたオリックスにも、今年は明るいニュースがあった。そう、新マスコットキャラとして今春デビューしたバファローブル&ベルである。特に女の子キャラのベルちゃんは、「カワイすぎる」「萌える」などと、野球ファン以外の部分から人気に火がつき、夏頃からTVや雑誌などのメディア露出が激増。思わぬ大ブレイクを果たしたのだ。そして、今月28日には、な、なんと! PHP社から、初のオフィシャル写真集までもが発売されることに!! オリックスの、そして関西人にとっての“クライマックス”は、まだまだ終わっていなかったのである。
ベルちゃんの魅力は、か細い手足に大きな頭部、大きな目というアニメキャラクターのような、いわゆる2次元的バランスのかわいらしさと言われている。そこで、一体どんなヤツがこの写真集を買おうとしているのかを探るべく、amazonお得意の「この商品を買った人はこんな商品も買っています」をチェックしてみた。出てきたアタマ3つは以下の商品たち。
・『超合金 ファイアボール チャーミング ドロッセル』
・『figma 侵略! イカ娘 イカ娘』
・『figma 魔法少女まどか☆マギカ 美樹さやか』
って、全部オタク系フィギアやん!! 薄々気づいてはいたけど、やはりこのバファローベル人気を支えている大半は、アニメや漫画が好きなおたく層らしい。これぞ、まさに2次元と3次元の狭間が生んだ奇跡。写真集発売を記念した11月3日のサイン会の東京会場がアニメイト秋葉原店ということからも、いやらしいほど狙うターゲットは明確だ。
しかし、野球に興味のなかったおたく層を取り込んだメリットは大きい。なんせこの層は、好きなものに対しては糸目なくお金を使う傾向があるからだ。関係者の話によれば、夏頃にはぬいぐるみの売り上げが前年同月比で約3倍に膨れ上がったとか。観客動員が減少傾向にあるプロ野球界にとって、グッズ収入の大幅増加はなんとも有難い話。バファローベルのフィギアや抱き枕などの萌え系アイテムが発売されるのも、もはや時間の問題か?? オリックスが仕掛ける、今後のバファローベル商法には注目せざるを得ないだろう。
そして、この人気にあやかったかどうかは定かではないが、サッカー界の萌えキャラとして、Jリーグのジェフ市原の新マスコット、ミックス犬の「みなちゃん」が登場したのをご存知だろうか?
いや、知らんよね、普通(笑)。
しかし、残念ながらベルちゃんほどのブームとはならず、挙げ句は2ちゃんねるにて「チェンジ」と酷評される不人気ぶり。決して「女の子キャラ=萌え」という安易な図式は成り立たないのである。
バファローベルには、足の細さなどのフォルム、女の子らしい仕草などなど、女子キャラに求められる萌えファクターがすべて備わっている。それが逆に計算されていないからこそ、その「萌え」はよりリアルさを増し、おたくファンの心を鷲づかみにするのだ。普段から多くのアニメや漫画などに触れ、「萌え」に関しては目利き職人と言っても過言ではないおたく層の支持を勝ち取るのは、本当に並大抵のことではないのである。
そこで、筆者は思う。バファローベルの成功を受け、今後、プロスポーツ界は球団経営を考える上でこれまでノーマークだった“萌え”へのアプローチを真剣に考えるのではなかろうか。そういう意味で28日に発売される写真集は、萌えキャラの起用を考える各チームにとっての指南書となるに違いない。
日本のプロスポーツ界が、変な方向に行かないことを切に願うのだが……。