「現代能『陰陽師 安倍晴明』~晴明 隠された謎…~」が、来年2019年1月9日(水)、10日(木)に東京・中野サンプラザホールで追加上演されることになった。2001年に初演され、これまで海外公演を含め20回以上の上演を重ねてきた本作。今年9月に野村萬斎の演出、藤間勘十郎の脚本補綴により新たな『陰陽師 安倍晴明』が誕生し、注目を集めたが、早くも再演が決まった。
12月に東京都内で行われた取材会では、葦屋道満役の梅若実玄祥、演出と安倍晴明役を務める野村萬斎が参加した。萬斎は本作について、「現代能というタイトルではあるが、能、狂言、宝塚、日本舞踊、そしてイリュージョンやプロジェクションマッピングなど現代のハイテクをも使っている。能や狂言の入り口になる作品でもあるし、能や狂言を基にしたエンターテイメントのあり方のひとつの指針となる作品だ」と話す。そして「仕掛けばかりではなくて、(梅若)実先生、(葛葉姫/榊の前を演じる)大空ゆうひさん、私も含めた3人が激突するという“技合戦”もご注目いただきたいし、能の囃子と歌舞伎の鳴物も含めた“演奏合戦”もある。本当に見応えもあるものかと思う」と語った。
10月下旬から約3週間、十二指腸潰瘍で入院していた梅若実玄祥は「つい1か月前に退院して、12月9日の襲名披露も何とか無事に終えた。体力的にはまだ完璧に復活はしていないが、今回も萬斎さんの力を借りて、一生懸命やらせていただきたい」と意気込む。作品については「萬斎さんが安倍晴明、僕が葦屋道満というのは僕の念願でもあった。割と短い作品だが、内容が詰まっていて、楽しめる作品だと思うので期待してほしい」と話した。
9月公演の観客の反応について問われた梅若実は「たくさんアンケートを頂いたが、つまらなかったというものはなかった」と話して笑いを誘い、「ご覧になった方が“これが能なんですか”と仰っていた。萬斎さんがうまく芝居と能の中間を演出してくれている。飽きの来ない作品だと思う」と語った。
共演する大空ゆうひについて、萬斎は「宝塚のスターであるということは言わずもがなだが、ある意味道場破り的な、アウェイ感が強い環境で堂々と演じ切られているのはさすがだ。実力と技術がないとなかなかできない」と絶賛。梅若実は「宝塚時代からファンだが、男も女も超えたところで演じている人なので、僕としてはやりやすいし、だからこそ能に近くなっている感じがする」と話していた。
公演は1月9日(水)14時、10日(木)18時30分の2公演。チケット発売中。
文・写真:五月女菜穂