大槻能楽堂にて。芸術総監督大槻文蔵を囲んで後列に出演者。 大槻能楽堂にて。芸術総監督大槻文蔵を囲んで後列に出演者。

モーツァルトのオペラを、ヨーロッパの管楽アンサンブルの演奏に乗せて狂言師たちが演じる狂言風オペラシリーズ。2002年に始まり国内42公演、ドイツ7公演を重ねてきたこのシリーズに、昨年新たに能と文楽が加わり、まったく新しいステージとして誕生したのが『狂言風オペラ“フィガロの結婚”モーツァルト・管楽八重奏版』だ。笑いに加え、日本の伝統芸能とクラシック音楽のエッセンスを融合したこの舞台の再演がこのほど決定。製作発表記者会見が1月11日、大阪市内の大槻能楽堂で行われた。

狂言風オペラ「フィガロの結婚」チケット情報

昨年に引き続き芸術総監督は観世流能楽師、人間国宝の大槻文蔵が務め、8月に惜しくも亡くなった笛方藤田流の藤田六郎兵衛による脚本・演出を踏襲する。スイスより来日するクラングアート・アンサンブルが序曲や間奏曲などを演奏。伯爵を桐竹勘十郎(人形)、豊竹呂太夫(語り)、鶴澤友之助(三味線)、伯爵夫人を観世流シテ方、赤松禎友(能)、そしてフィガロ、スザンナほかを野村又三郎、茂山茂らの狂言方が演じる。

「能の謡(うたい)と文楽の義太夫は、トーンも発声の仕方も違う。大いなるミスマッチと思っていましたが、舞台稽古の二日目に、これはいけると確信を持った。それぞれの役割分担がぴったりと合いました」と豊竹呂太夫。南北朝・室町時代に生まれた能と、泰平の江戸時代に生まれた文楽とでは、求められる“音”が異なる。この奇跡的な融合を実現した昨年の舞台を振り返り、大槻文蔵は次のように語った。「西洋のアンサンブルが、われわれの仲を取り持ってくれたような感じがします。そしてややもすれば水と油になりそうな西洋の楽器と日本の楽器も、こんなにうまく融合するのかというほどうまくいきました。もうひとつの成功のもとは、能面と人形が加わったこと。無機的な能面と人形の作り出す世界に沿って『フィガロの結婚』という物語の有機的な部分が生まれ“いかに真面目にやりながら面白いところが出てくるか”という味わいが、われわれの思った以上に出せたのではないかと思っています。六郎兵衛先生が遺したお仕事をさらに深める形で、面白い舞台を創りたいと思います」

公演は、3月16日(土)愛知・豊田市コンサートホール、17日(日)山形・河北町総合交流センターサハトべに花、18日(月)青森・八戸市中央公会堂、20日(水)大阪・大槻能楽堂、21日(木・祝)滋賀・びわ湖ホール中ホール、24日(日)兵庫・あましんアルカイックホール・オクトにて。チケットは発売中。

取材・文:金子真由

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