テーマは恋愛!でも、それだけでは終わらない。

星形をたくさんあしらったファンタジックなセットから考えても、中盤までのストーリー展開からしても、ライトテイストの舞台になるのかな?と思いながら見ていたのですが…。終盤では怒涛の展開が待っていました。

最後の一瞬に至るまでの流れはまさしく圧巻で、会場はそこかしこから嗚咽が聞こえるほどの感動に包まれました。これでこそ演劇女子部シリーズ! まさしく期待を裏切らない出来栄えです。

「TRIANGLE-トライアングル-」の大きなテーマとなっているのはズバリ「恋愛」。非常に普遍的で、ともすれば通俗的になりかねない題材です。これを描くために、非日常的なファンタジーという形を取ったことは非常に大きな意味があったとのではないでしょうか。王女サクラの心の揺れや、アサダの戸惑い、そしてキリの想いが、ひとつの星を動かす大きな問題に変わっていきます。

だからこそ、ひとつの恋愛は物語を動かす大きなエネルギーを持ちます。そして、まるで自分のココロがそこにあるかのように胸に刺さるのです。どんな立場にいても、どんな世界にいても、人を愛する気持ちは同じ。私たちにとって身近なテーマである恋愛における心の揺れが、あえてファンタジーの形をとることでハッキリと浮き彫りにされていたのではないでしょうか。

それと同時に、今作のテーマとして、「民族」や「身分」といった社会的な問題も潜んでいたことは書いておかなければならないでしょう。露天商ダイスをはじめとした市井の人々は、そのためにも登場していると感じました。

自分自身がどんな出自を持ち、現在の社会の中でどのような立場にいて、そしていったいなんのために、どのようにして生きていき、そのパートナーとして誰を選ぶ/選ばないのか。これは現実を生きる上で誰もが出会う問いです。

人が生きていく上でぶつかるたくさんの壁や亀裂とも、今作は深く繋がっているようです。だからこそ、「TRIANGLE-トライアングル-」はただのラブストーリーに留まらないのでしょう。