ヒューマン中村 (よしもとクリエイティブ・エージェンシー)
‘83年生まれ、石川県出身。コンビでの活動を経て、ピン芸人の道へ。現在は大阪にある若手芸人を中心とした劇場「5upよしもと」を中心に活動。また、大喜利の腕前に定評があり、多くの大喜利イベントに出演している。
■過去3年の戦績:2009年…2回戦
2010年…準決勝
2011年…決勝
昨年、彗星のように…ではなくさらっとした印象で決勝の舞台に現れたまったく無名のピン芸人。見た目はたしかに、華がないといえば華がないのではあるが、物事を「しょぼくしていこう」と繰り出すフリップネタには、多くの人がセンスの輝きを感じとったはず。昨年の決勝進出によっても「それほど知名度が上がったわけではない」と語る男が、悔しさと下心を胸に、今年も決勝にやってくる。その独自のアイディアに瞠目すべし。
――決勝は2年連続ですね。
ヒューマン:いやあ、正直ホッとしましたね。1回だけだと「まぐれだったんちゃうか」と思いそうなところがあったんですよね。でも2回行ったらさすがに本物というか、実力で行ったんだと思える。そういうプレッシャーが勝手に自分の中にあったんでよかったなあと。
――でも昨年決勝出られたことで、生活は変わったんじゃないですか?
ヒューマン:僕、大阪の「5upよしもと」という劇場で主にやってるんですけど、そこは若手がピラミッド型のランキング制になってるんですよ。それまでの僕、ピラミッドの一番下でしたからね。そんな僕が昨年、決勝まで行ったことで、初めて全国ネットの番組に出させていただいたわけですから。
――ということは、もちろんピラミッドの中の位置も…。
ヒューマン:ええ、今も変わりません。
――えっ!?
ヒューマン:一番下におります(笑)。R-1では勝ち進めるのに、劇場では全然上がれないという…なんなんでしょうね。ただ、もちろんほかのところでは変化がありましたよ。
――そうですよねえ。
ヒューマン:週5で入ってたバイトが、週4で済むようになりました! しかも、バイト先のおばちゃんがちょいちょい食べ物を僕にくれるようになりました。これには驚きましたねえ。
――捉えようによっては劇的な変化ですよね(笑)。
ヒューマン:それと若手芸人らしい仕事に、学園祭の営業というものがあるんですが、昨年は二つしか呼んでもらえず…。そこで僕思うんですけど、会社が僕の決勝進出をもみ消したんじゃないかとにらんでるんですよね。
――にらんでますか(笑)。
ヒューマン:だから今回こそ、僕がここいるよってところを会社にアピールしたいですね。
――でも本当、準決勝のネタはお客さんの反応がよかったですよね。
ヒューマン:ほんまですか? でも僕のネタって、ノートの隅っこに書いたアイディアがほとんどなので、そんなにネタについての手ごたえとかは感じないタイプなんですよね。準決勝で披露したのも、明け方の4時くらいに思いついて「でもこれは使わないやろな」と思いつつメモしておいたのがはじまりですから。
――優勝するには2つネタが必要ですが。
ヒューマン:それについては大丈夫ですね。昨年、最終決戦に行ったらやりたいなと思ってたのもあるし、また当日になるまでに違うのを持ってくるかもしれないし。その辺はまだ考えている途中なんですけどね。
――ネタの順番としてはいかがですか? 昨年は一番最後でしたね。
ヒューマン:昨年のことはよく覚えてます。もう舞台袖で見た佐久間さんの「井戸のお化け」が本当に衝撃的だったんですよ。おかげで、一年間ずっと「システム~♪」が頭から離れなくて。なにかにつけて思い出してしまったんで、ぜひ優勝してあの衝撃を払拭したいなと思っています。
――優勝すれば、今度こそ生活が変わるでしょうしね。
ヒューマン:知名度を上げて、生活を激変させてみたいですよね。たとえば女を抱きまくるとか。
――なんか急に、草食系のイメージとは違った言葉が出てきて驚きました。
ヒューマン:そうですか? 僕、モテたくてお笑いしてるんで。
――きっぱりと(笑)。
ヒューマン:そのはずなんですけど、劇場にいっしょに出ている芸人、スタッフさん、作家さんからは『私服がダサい』と言われてるんですよねえ。だから、もし500万円が手に入ったら、いろんな色のパーカーを買いたいなと。
――オシャレ=パーカーなのですね(笑)。
ヒューマン:大阪ピン芸人界の雄である、おいでやす小田、そしてハクション中西くんに負けないよう、精一杯頑張りたいと思います!