面白いのは、根元で切ると、通常のハサミより少しだけ力がいること。つまり根元では通常のハサミに比べて開く角度が小さく、その分、力が必要になるのだ。でも、その事実が、刃先での切れ味を保証しているようで、ちょっと余分に力がいることも面白く感じてしまう。その凄さが分かりやすいのは、ビニールなどを切る時。ビニールのような、ハサミで切ろうとすると巻き込んでしまう素材でも、このフィットカットカーブだと、力のかかり具合が均等に近いため、巻き込まずに真直ぐ切れる。ビニールなどは、ピンと張ってから切らないと切りにくかったのだけど、このハサミならその手間が要らないのだ。切りにくかったブリックパックも簡単に切れる。それも、力が均等に切る物に掛かるからだけど、普通、ハサミで切る時の力の掛かり具合なんか気にしないから、実際にスムーズに切れると魔法のように感じる。


ケース付きだから、カバンに入れて持ち歩いても安心
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 筆者は、50万回以上切れるという耐久性に惹かれて、ちょっと高い(でもブルーのコーティングがカッコいい)チタンコートタイプ(735円)を購入したが、他にも、スタンダード(315円)、フッ素加工(420円)、左手用(315円)、ロング(367円)と揃う。さらに、ハンドルが左右非対称の「ジャストグリップ」タイプでも、同様に、「スタンダード」(315円)、「フッ素加工」(420円)、「チタンコート」(735円)、「ロング」(367円)がある。「スタンダード」ならグリップの色も豊富に揃うし、好み、必要に応じて選べるラインアップだ。というより、普通にハサミとして売ってるわけだ。


こんなに凄いのに、ケースの裏には名前を書く欄なんかもあって、微笑ましい

 だから、普通に文具店なんかで見たら見過ごしてしまうかも知れない。でも、このハサミの凄さは見過ごすにはもったいない。安いんだから、一度は使ってみて欲しい。で、気がつくと、いつの間にか、ハサミの刃は曲がっているのが当たり前、という時代が来た頃に、自分はその時代の境目を知っていると思えるのは、ちょっと嬉しくないかなあ(そうでもないか)。
パイロット「フリクションイレーザー」1個105円(税込) Amazon

 あと一個、これも地味だけど嬉しい新製品が、パイロットのフリクションボール専用消しゴム「フリクションイレーザー」が登場。まあ、ただのラバーの塊というか、消しゴムの形をした固めのラバーなんだけど、専用品というのは、それだけで嬉しいもの。一文字を消すならフリクションボール本体に付いてる消すためのラバーでも十分使えるのだけど、一行全部消したいとかいう時は、こういう消しゴムの形が使いやすいとということなのだろう。


  

ということで、3月15日の発売日に入手して使ってみた。まず、ケースに入っているのだけど、これが、カッコいいけど意味が分からなかった。本当の消しゴムのように汚れたり減ったりするわけでもないのに、とか。ただ、消し心地は悪くないと言うか、固過ぎず柔らか過ぎずの絶妙な質感が良くて、比較的スムーズに消せるのだ。ただ、消すための力の入れ具合が、普通の消しゴムとは違うため、最初は上手く消せなかった。消しゴムの形だけど、やはり消しゴムではないのだ。どうせなら、電池入れて発熱するとか、そういう消しゴムも作ればいいのに。


「ロディア・ハードカバー」No.11 Amazon

さらに、ついでに、今回の「フリクションイレーサー」の写真撮影用に使ったのが、ロディアの新製品「ロディア・ハードカバー」。ロディアのブロックメモに、ハードカバーの表紙を付け加えたもの。写真のNo.11(1890円)だけでなく、細長いNo.8や、切り取ったサイズがA4になるA4+サイズのNo.19など、様々なサイズが発売されているのが面白い。カバーを開いた左側に、書いたメモを入れておいたり、ジョッター代わりに出来るスペースがある。

のうとみ・やすくに 東京小猫商会コモノ部1号、文具部3号。フリーライター、All About男のこだわりグッズガイド、懐中雑誌ぱなし編集長。夕刊フジ「オトコ小物の名品」、日経トレンディネット「聞いた、試した、すごかった! 最新ビジネスギア情報局」、Pdweb「今月の気になるプロダクト」など、モノ系の連載も多数。著書はデジタル系からモノ系、ドリンク系、書評系など幅広く出版。ラジオやテレビやトークイベントで喋ったりもするし、オリジナルグッズのプロデュースや販売もする。現在、プロのライター向け取材用ノートカバーをプロデュースし発売中