「怒」には、いろんな要素が含まれている。
ステージでも明かしていたが、ふたりは音響に対する不満を口にする。なかでも、もっとも驚かされるのは、ユンホが声を荒げる場面だ。本番ステージの真裏でユンホはスタッフにぶちまける。語勢を強めるユンホの姿は、これまで見せてきた姿からは想像もつかない。一方のチャンミンも悔しさをにじませるも、状況を受け入れ冷静に返す。(ふたりのバランスの良さったら……!)
怒りや不満を漏らす場面と聞くと“負の要素”にとられそうだが、実は、驚きこそあるが、嫌な気持ちになることはないはず。言葉を向けられたスタッフもきっと同じだと思う。それは、ふたりの根底にあるゆるぎない“想い”をわかっている、ふたりはプロフェッショナル、ということが容易に想像がつくからだ。
「哀」の色が濃くなるのは、いわずもがな終盤。いよいよ、ファナイル。本番が始まるその直前、スタッフがチャンミンにかけた言葉、ユンホとかわす……。ファンはもちろん、ずっとふたりとともにしてきたスタッフ、ダンサー、バンドのメンバーが見せる姿に、きっと、“涙腺崩壊の危機”を迎えてしまうだろう。ただ、観終えた後に残るのは、ネガティブな感情よりも、もっと前向きなものだと信じている。
映像を観ると、本当に、「え! そんな状況だったの!?」と驚かされることがたくさんある。ユンホが口にする不安や、まさかのトラブル、そして、チャンミンがにじませた悔しさ・不満。公演を観た人ならきっと、「“そんなこと”微塵も感じさせなかったジャン!」と思うだろう。
なぜ、見せないのか。
ふたりの、10年を通しての「ライブに対する考え方・意識の変化」が語られている。
東方神起にとってステージとは? 東方神起のパフォーマンスとは?
頼もしいばかりの言葉(答え)こそ、“東方神起そのもの”だと思う。