善良そうで実は悪徳かも? 探偵選びの“新常識”

前項では探偵選びに大切な4つの大原則を書きました。今度はその反対に「え?これって良い探偵さんの証拠じゃないの?」と驚きそうな、“善良に見えて実は危ないかもしれないパターン”をお教えします。

探偵養成所を持っているところは安全である

探偵養成所(スクール)を持っていて、そこを卒業した者から優秀者だけを自社へ採用しています‥‥そう書かれると普通は「ものすごい優秀な探偵さんばかり在籍しているんだろうな」と信じてしまいますが、実はそうとも限りません。

探偵という言葉のイメージを利用して受講者を誘い込み、肝心の講義は適当に済ませて開業費用だけ受け取る、フランチャイズ詐欺まがいの悪徳経営をしているところもあります。少なくとも養成所の有無と、調査能力の高さは関係がありません。

全国展開しているところは安全である

ホームページを見ると北海道から沖縄まで「支社」「事業所」がずらりと並んでいる探偵社は少なくありません。ですが実は提携しているだけの探偵社を「自社の事業所」として記載している場合もあるため、必ずしも全国ネットワークがあるから安心とはいえません。

狭いエリアで地域密着型の活動をしている善良な探偵もたくさんありますから、見た目だけの“全国展開”に大した意味はないのです。

業界団体に所属しているところは安全である

社団法人、NPO法人、任意団体‥‥多くの探偵社は業界団体への加盟をホームページに記載しています。これも信用度を示すバロメーターと言えなくはないですが、あまり鵜呑みにするのも考え物です。

悪徳業者が自社のグループ企業ばかりを集めて「全国○○調査業ネットワーク」といった団体を作る場合もあります。団体に入っているのだから詐欺行為はしないだろう、という一般人の先入観を利用する形です。

業界内で一番メジャーと言われる日本調査業協会にすら悪徳業者が加盟できている現状を見ると、団体への所属は目安にならないと(個人的には)思っています。

ランキングサイトに掲載されたところは安全である

「信頼できる探偵社ベスト20」のように、探偵社をランク付けして依頼者を誘導しようとしているサイトを見かけたりしますが、あまり信用しないほうが安全でしょう。

前項(業界団体について)を読んだ人ならピンと来たかもしれませんが、ランキングサイト・リンク集・紹介サービスにも“悪徳探偵による自作自演”が多いからです。

すべて駄目とは言いませんが、少なくとも探偵社が運営しているサイトは警戒したほうが無難です。逆に、「探偵さがしのタントくん」のように別業種の第三者が関わっている紹介サイトなら、一定の信頼がおけると考えられます。

歴史の長いところは安全である

「創業○○年の伝統と実績」を宣伝文句に使う探偵社はいくつもありますが、老舗だからといって安心できないのがこの業界です。

探偵業界は「悪評が広がりにくい(=詐欺に遭っても周囲に相談しにくい)」「法人客よりも個人客が圧倒的に多い(=カモは無限にいる)」という、特殊な環境にあるからです。

極端な話ですが「新規客を獲得し続けられる豊富な広告資金」と「客を騙しても良心が痛まない特殊な精神構造」などが揃っていれば、悪質な業者でも20年、30年と営業を続けていられるのです。

逆に、歴史が浅い探偵がすべて信用できないとも限りません。むしろ業界の悪癖に染まっていない若い探偵社にこそ良心的サービスを低価格で提供できている場合があります。

見た目の売り文句だけに惑わされず、“探偵選びの原則”をしっかり活用しながら自分の判断で見極めることが大切だと言えるでしょう。

どこで間違えたのか研究者の卵から探偵へクラスチェンジ後、足を洗った現在はライター稼業。いまだに尾行を気にして振り返る癖が抜けません。記事の守備範囲はネット、現実世界に関わらずちょっぴりアングラ系を好みます。