松岡圭祐さんの小説を原作にしたフジテレビ系ドラマ『探偵の探偵』が7月9日にスタートしました。初回視聴率は11.9%を記録し、視聴者からの反応も上々のようです。本作は“探偵を調査する探偵”という斬新なテーマを扱い、また人気女優の北川景子さんが初めて本格アクションに挑戦したことでも注目されています。
第1話からドラマあり、ミステリーあり、アクションありと盛り上がった『探偵の探偵』ですが、作中に出てきた設定・描写は本物の探偵から見ても非常にリアルでした。そんな“ドラマ内での現実再現度(リアリティ)”を、元プロの探偵が語ってみたいと思います。
モデルになった事件がリアル
『探偵の探偵』第1話の冒頭では、ストーカーが若い女性を殺害する凄惨な事件が起きます。北川さん演じる主人公・紗崎 玲奈はここで妹を失い、秘密だったはずの妹の居場所を犯人に漏らしたのは、ある探偵の仕業だと知ります。
これが後に、主人公が「探偵のすべてを知り尽くしたい」「妹が死ぬきっかけを作った探偵を見つけたい」と調査会社に入り、悪徳探偵を調査する「対探偵課」で活躍するきっかけとなりました。
重大事件の背後に探偵が関与していたというのはフィクションだけでなく、現実でもたびたび起きています。近年だと2012年に神奈川県で発生したストーカー殺人事件がまさにそれで、逮捕された元探偵(違法な調査で得た被害女性の居場所を犯人に教えた)には今年1月、執行猶予つきの有罪判決が下されました。
あまりにトラブルが多い業界のため、2007年に「探偵業の業務の適正化に関する法律」、いわゆる探偵業法が施行されたのは現実でも同じです。それでもやはり作中で触れられたように“モグリ(無届け)の探偵”は存在し、違法な調査を請け負うなどしてトラブルを引き起こしています。
なぜ主人公は妹に直接手を下したのでもない、居場所を教えただけの探偵にこれほど復讐心を抱くのか?‥‥という動機面については首をかしげてしまうのですが、きっとこれからの物語で明かされていくことでしょう。少なくとも“重大事件の影に悪徳探偵あり”という設定は非常にリアルです。