マニュエル・ルグリ率いる世界一流ダンサーと、国際的に活躍する日本の気鋭音楽家によるコラボレーション「マニュエル・ルグリ『Stars in Blue』バレエ&ミュージック」が本日3月8日(金)初日を迎える。公演を目前に記者会見が行われ、ルグリがその才能に惚れ込み信頼を寄せているオルガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン(ともにボリショイ・バレエ プリンシパル)、シルヴィア・アッツォーニ(ハンブルク・バレエ団 プリンシパル)と、ヴァイオリニスト三浦文彰、ピアニスト田村響、振付家のパトリック・ド・バナ、ウィーン国立バレエ団専属ピアニスト滝澤志野の8名が登壇した。
初来日から35周年を迎えるルグリは「私にとって音楽は特別なもの。素晴らしい音楽家の方と舞台で共演できる機会を与えていただき、うれしく思っています」とまず感謝を延べた。自身はソロ『Moment』と、スミルノワとの世界初演『OCHIBA~When leaves are falling~』を踊る。新作については「オルガのような若く才能溢れるダンサーと踊れるのは本当に夢のようなこと」と目を輝かせる。
『OCHIBA』振付のバナは、作品がアレッサンドロ・バリッコの『絹(シルク)』にインスピレーションを得た、静謐な愛の物語だと明かし、作品を踊るスミルノワは「新しい芸術に足を踏み入れたと感じています。シンプルな動きでいかにお客様を引きこむかが難しくて…今はドキドキしています」と話した。
アッツォーニは、チュージンと『ソナタ』(ウヴェ・ショルツ)を踊る。「一緒に踊るということは、パートナーからエネルギーをもらって自分のものにするということ。また今回、素晴らしい音楽家の方と共演することでお互いを近くに感じて、美しい関係を築けるのではと思います」。チュージンは「みなさんと共演できるのは僕にとって大きな名誉。本当にハッピー。これ以上の言葉はないです……」と短いコメントで、全員爆笑。バナが席を立ってチュージンを温かくハグした。
その『ソナタ』でラフマニノフの「チェロ・ソナタ」をヴァイオリンで演奏する三浦は「僕はチェロは弾けないので(全員笑)。でもチェロとは違う新鮮な響きになると思います。ダンサーの方たちが演奏している目の前まで来られるので、その迫力を感じます」。田村は、バレエとの共演は初めて。「リハーサルではダンサーの方の空気を感じながら演奏できました。音楽と動きの融合の美しさ、素晴らしさを体感していただければと思います」
最後にルグリが「音楽とダンスが緊密になることで、より音楽の存在を感じ、新しい踊りの可能性を見出すことができるかもしれません。私たちにとっても貴重な体験となることでしょう」と新しい挑戦への期待と決意で締めくくった。公演は3月8日(金)・9日(土)の東京芸術劇場コンサートホールを皮切りに大阪、宮崎、愛知にて行われる。
取材・文:郡司真紀