人気刑事ドラマ「相棒」の新シリーズ「season14」がいよいよ今夜スタート。3代目の相棒、甲斐享(成宮寛貴)が逮捕という前シリーズの衝撃の最終回から約半年。杉下右京(水谷豊)の新しい相棒には反町隆史が決定し、新シリーズの展開から目が離せない。反町演じる法務省のキャリア官僚、冠城亘(かぶらぎ・わたる)は、右京とどのようにして出会うのか? 無期停職となった右京の処遇は? そして特命係の現在の姿は? 興味の尽きない新シリーズの放送に先駆け、水谷と反町がインタビューに応じた。
―今回が初共演のお2人ですが、演技の手応えや感想は?
水谷 撮影というのはダメだったらもう1度できるわけです。ところが、それが分かっていても本番になるとプレッシャーが襲ってくるものです。特に「相棒」は長回しが多いので、“心が折れる”人もいるんですね。でも、ソリ(反町)は折れない。心が強いですね。
反町 「相棒」は他のドラマに比べてカット割りが少なく、一連で撮るとは聞いてはいました。最初はなかなか慣れませんでしたが、水谷さんがメンタル的にケアをしてくれたので、やっと慣れてきた感じです。この作品は、右京さんがどう事件を解決していくかが大きな楽しみですよね。僕も台本を読みながら、水谷さんならこういう芝居をするかなというイメージをつくってみるんですが、実際に芝居が始まるとイメージとは違ったものが生まれてくる。現場で生まれるセリフには説得力があります。そこが、水谷さんが長年やってつくり上げてきた芝居なんだなと、あらためて実感しています。
水谷 僕はソリの若いときの作品も、最近の作品も拝見していますが、年相応に良くなる、俳優の理想をいく数少ない1人ですね。共演してみたいと思っていましたし、とても楽しみだったんですよ。演じていて感じるのは、いろんなことを経験してきているんだろうなということ。人間的に優しいですし、芝居って追い詰められるとその人そのものがあふれ出てくるものだと思うんですけど、そこが魅力的で面白いです。
反町 水谷さんに驚かされたのは、ドラマの全体がすべて頭に入っていること。まったく台本を見ないんですよ。セリフだけじゃなく、次に何を撮るかもすべて分かっている。それは本当にすごいです!
―お互いの印象を教えてください。
水谷 右京は物知りですが、僕個人は世の中のことをあまり知っている方じゃない。ところが、ソリは何を聞いても答えてくれる。質問して間髪入れずに答えてくれるのは、石坂浩二さんとソリだけですよ。携帯で調べるよりも早い(笑)。
反町 陰で調べてるんですよ(笑)。水谷さんは愛情が深いんです。朝一番で毎回、スタッフ全員と握手するんです。「おはよう」と言いながら。僕は「いつ撮影が始まるのかな?」って思っている(笑)。撮影が終わったらまた、「お疲れさま」と握手。それぐらい愛を持って接している。素晴らしいですよね。芝居や作品への思いは当然なんですが、後輩として見習っていかなければならないと思います。
―水谷さんは反町さんを「ソリ」と呼んでいるんですか?
水谷 いえ。その時によって「リーソー」だったり「タカーシ」だったり。気分で変わっちゃうんです(笑)。
反町 たまに呼ばれていることが分からないときがあります(笑)。
―誕生から15年がたった「相棒」ですが、何か思うことはありますか?
水谷 40代で始まって、50代から60代になって…。こんなことってあるんですねという感じです。こんな俳優生活は想像もしていなかったです。続けようと思ってできることではないので、素晴らしいことが起きているなと思います。最近では、「水谷さん」より「右京さん」と声を掛けられることの方が多いかもしれませんね。ときどき「水谷さん」と呼ばれると新鮮です(笑)。
反町 僕にとって、古くからの作品に途中から参加するというのは初めての経験。出演が決まったときには、たくさんの方から「おめでとう」と言われたのが印象的でした。それだけ多くの方から支持されているんだと実感すると同時に、歴代の相棒がいらっしゃる中で、自分はどのような立ち位置で作品に関わっていくのだろうかという不安にもかられました。現場ではもちろん緊張もあります。でも、肉厚な作品を作っていくには、いい意味でこの緊張を持続していく必要があるかなと感じています。
―長続きの秘訣は?
水谷 先ほども言いましたが、続けようと思って続くものではない。実際に、「相棒」は将来に向かっての綿密な計算は何もしていないんです。常に“今”を意識しています。今、世の中で起きていることに呼応し、「相棒」は生きている。だから、いつもギリギリの状態。それがスリリングな緊張感となって、見る人を裏切らない作品につながっていくのだと思います。
―気になる第1話ですが、特命係はどうなっているのでしょうか?
水谷 特命係があんなことになっているとは思いませんでした。僕は無期停職処分中で、自由に警視庁に出入りしちゃいけない身分なんです。その間に、あんなことになっているじゃないですか。あれ? 質問に何にも答えてないですね(笑)。
反町 「あんなこと」だけ(笑)。でも、どこから話したらいいのか。キャストとスタッフが一丸となって作り上げた作品で、しっかりした内容になっていると実感しています…。ちょっと質問からそれましたか?
水谷 それたね。お互い、質問にはまったく答えてないね(笑)。
―右京と亘のコンビネーションは?
水谷 とても面白いですよ。誰とも知らない2人が出会うわけですからね。おそらく、作品を見てくだされば新鮮さをそこここに感じられると思います。まず、今までと違って相棒が警察官ではない。振る舞いも違うし、当然警察手帳も持っていません。その違いを冠城君は分かっているんですね。だからとても自由奔放。
反町 亘は頭のいい人間。ただ、演じるにあたっては、一般的な官僚役の硬いイメージを崩したいと思っています。全体のストーリーは右京さんが追ってくれるので、自分は現場でできるだけ亘の感覚を大事にしながら会話を楽しむことに徹しています。
―「相棒」のほかのキャラクターとの関係性はいかがですか?
水谷 警視庁の人間からすると、いきなり法務省から異物が入ってくるわけです。そして、なんといっても先輩と後輩の関係がありませんからね。
反町 そうです。なので、暴れまくっています。
水谷 ある意味、小気味いいですし、ある意味、快く思わない人もいるかもしれない。
反町 かみついていますからね(笑)。
―では最後に、視聴者にメッセージを
反町 第1話は特に重厚な作品になっています。どう物語が進んでいくのか、台本を数回読んだぐらいでは、この先どうなるんだ?と思うくらいに複雑で、壮大なスケールを楽しんでほしいと思います。
水谷 ところで、ソリはこういうメッセージって得意じゃないでしょ?
反町 はい(笑)。
水谷 僕もそうなの。似てるなと思って(笑)。でも、第1話はかなり面白いですね。良くできていて、法務省絡みの内容です。多くの皆さんからの期待は僕の耳にも届いています。その期待に応えるべく、できる限りのことをみんなでやっています。あとは皆さんがどう楽しんでくださるか。僕に心配はありませんし、皆さんの期待もきっと裏切らないと思います。
「相棒season14」初回2時間スペシャル「フランケンシュタインの告白」はテレビ朝日系で14日(水)午後8時~10時09分放送。レギュラー放送は毎週水曜、午後9時~9時54分放送。