NHK大河「花燃ゆ」の最終収録&クランクアップセレモニーが14日、東京都内で行われ、主人公の美和を演じた井上真央が出席した。
吉田松陰の妹・文(美和)の成長を中心に、困難を乗り越える家族の絆、松陰の志を継いだ若者たちによる青春群像を描いた本作。昨年の8月から始まった撮影もこれで終了。ラストカットは、美和が「どこか新しい場所で、これからの始まりに思いをはせ、未来へ向かう」というシーンだった。
「オールアップ」の声が掛かり満面の笑みを浮かべた井上は、駆け付けた共演者の伊勢谷友介、檀ふみ、東出昌大、原田泰造らに花束を送られると一人ひとりと抱き合って、喜びを分かちあった。
会場に準備されたVTRで、制作発表会見から始まる数々の名シーンを振り返った井上は「懐かしい。この『花燃ゆ』は大河らしからぬ、何かを成し遂げた偉人ではなく普通の人が主人公でした。私も“きらびやかな姫”をやりたいなとちょっと思ったのですが、これも私らしいかなとも思って…」と笑顔を見せつつ、「それでも懸命に生き、悲しみ苦しんだ家族や仲間たち、権力も何もない人々、女性を描きたい、その最初の思いに私も心を動かされて作品をやろうと決めました」と当時を振り返った。
また、視聴率の苦戦が指摘されたこともあり「いろんな厳しい意見も耳にしましたが…」と声を詰まらせた井上は、「ちょっと、泣き顔は撮らないで下さい」とはにかみながら、「主演として自分ができることは何かなと毎日のように考えました。でも、私にできることは、誰に何を言われようと堂々と立っていること、現場でばかを言って笑っていることぐらいかなと思ってやってきました」と目を潤ませながら心境を吐露。
続けて「でもその不安や葛藤、ちょっと体調が悪い、機嫌が悪かったりというのは、これだけ歳月をともに過ごすと、すぐにみんなにバレてしまうもので…。そうやってすぐに察知してくれた人たちは『一緒に頑張ろう』と言って甘いものをくれたり、本当にいろんなかたちで励ましてくださいました。本当に大変な時こそ人の優しさが感じられると思いました」としみじみと語った。
あらためて共演者への思いを語った井上は「こんなに自分自身が成長できた作品はないと思います。他人から評価されることよりも、悩んで闘って、励まし合う中で得た絆、もらった言葉といったものが、はるかに自分にとっての喜びや宝物になりました」とし、「また明日から役者としても力をつけて、今度は私が誰かを支えられるような役者になって、また皆さんの前に堂々と立つことができたらと思います。本当にすべての方に感謝いたします。ありがとあんした」と最後は笑顔で締めくくった。
最終話は12月13日に放送予定。