『家族の映画』(c) endorfilm s.r.o., 42film GmbH, Česká televize, Arsmedia d.o.o., Rouge International, Punkchart films s.r.o.

コンペ部門の中で最も謎めいている『家族の映画』

これが長編2作目で日本初紹介となるチェコのオルモ・オルメズ監督作品『家族の映画』は、この原稿執筆時点でトレーラーすら公開されておらず、事前情報が極めて乏しい。

しかしこの映画は、未知のオモシロ映画発掘にいそしむ筆者の探知レーダーをなぜか刺激してやまない。

ヨット旅行に出かけた両親が不在のなか、留守番をしながら羽をのばす姉弟が思いがけない事態に陥っていくという物語。

その“思いがけない”という部分が重要なポイントである反面、その先の展開がさっぱり予想できないところが逆に鑑賞意欲をそそる。

そもそも『家族の映画』などとテーマそのものを冠した題名からして大胆不敵で、“あっと驚く”レベルの家族ドラマに仕上がっている可能性が高い。

さらに筆者の経験上、動物をうまく使う映画には秀作が多いが、本作では“犬”も家族の一員に含まれるという。

コンペ部門の中で最も謎めいていて、最も個人的な期待値の高い作品である。

純粋だった少年時代に恐怖映画を見過ぎて、気がつけば人生を踏み外していた映画ライター。世界中のさまざまな国の恐ろしい人間ドラマやスリラーなどを物色し、日夜研究にいそしんでいる。毎日新聞や映画.com、劇場プログラム等で映画評を執筆中。

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