12月1日は世界エイズデー。エイズ啓発運動の一環として、毎年全国各地でAAA(アクト・アゲインスト・エイズ)の催しが行われるが、なかでも異色の存在といえるのが、今年で7回目となるAct Against AIDS 2015「浅草寄席」だ。その中心人物、小倉久寛に話を聞いた。
Act Against AIDS 2015 「浅草寄席」 Vol.7 チケット情報
「もう7年でしたか!」と、満面笑顔の小倉。渡辺正行、ラサール石井、小宮孝泰、山口良一らと、メンバーは初回からほぼ変わることなく続く、毎年恒例となった寄席。「毎回温かないい雰囲気でやっています。舞台やテレビでなんとなく知っている人たちが喋るわけですから、落語を知らないというお客さんも凄く楽しまれています」
7年前の「浅草寄席」のスタート時を振り返ると「当時、アミューズミュージアムが出来たタイミングで、そこをいい形で利用できないかという話に。ちょうど、落語やりたい!とブームになっていた時期で(笑)、そういえば周りに落語好きな人が何人もいたな、と皆に電話してみたら、直前だったのに『その日空いてる、出る出る!』って(笑)。あの忙しい人たち全員がですよ。こりゃもう奇跡だって思いましたよ」
初回以来、毎年全員が12月1日のスケジュールを空けて待っているという。出演者にとっても外せない、楽しみな一日なのだ。「落語、楽しいですよ! 覚えるのが大変で、それはもうこの上ない“苦しみ”だけど(笑)。10年くらい前、初の落語で『時そば』をやった時は、うなされました。でも、当日は本当に楽しい。お客さんが僕の話を聞いて笑ってくれていると思うとね。今回やるのは『反対車』。落語で一生懸命“お芝居”します」
全員が芝居、コントで長年実績を誇る笑いの達人だけに、各々の持ち味が炸裂。落語の枠を超えた独特の笑いが期待される。「落語には素敵な人情噺がいろいろありますけど、そういうのは一切やらない(笑)。皆、プロとは違ったアプローチをするだろうし、プロならやってはいけないようなことも平気でやっているかも。多分、渡辺さんはそういうことを凄くやっていると思うし(笑)、マクラも飛び抜けて面白いんですよ。僕はね、柳家小三治師匠の『船徳』が大好きで、いつか力がついたら『船徳』をやりたいと思っていて……。この寄席、ずっと続けていきたいですね」
ウクレレ漫談のウクレレえいじ、ひとりコントで知られるオオタスセリ、司会には劇団スーパー・エキセントリック・シアターの良田麻美が出演。寄席らしい、賑やかな笑いに溢れたひと時となるだろう。
公演は12月1日(火)、アミューズミュージアム 6F イベントスペースにて。チケットは10月25日までインターネット抽選先行プレリザーブを受付中。
取材・文:加藤智子