『LET IT BE ~レット・イット・ビー~』 Photo:Paul Coltas 『LET IT BE ~レット・イット・ビー~』 Photo:Paul Coltas

2012年、ザ・ビートルズのデビュー50周年を記念してイギリス・ロンドンで生まれた『LET IT BE~レット・イット・ビー~』。ブロードウェイでも上演され、実に100万人以上を動員してきた今作が、昨年に引き続き二度目の来日を果たす。

『LET IT BE ~レット・イット・ビー~』チケット情報

「この作品はミュージカルではなく、あくまでも“ライブショー”。彼らの歴史に欠かせないシーンを40曲の名曲に乗せてつなげていく。途中に余計な演技シーンなどは入れず、シンプルにビートルズのライブを見せる。彼らの魅力を伝えるためにはこの形式がいちばんいいと思ったんです」。そう語るのは今作のプロデューサーである川名康浩氏。そう、世界を席巻するこの“ライブショー”の仕掛け人は何を隠そう日本人なのだ。数々のブロードウェイミュージカルをプロデュースしてきた彼は、2013年、シンディ・ローパーが音楽を手がけたことでも知られる「Kinky Boots(キンキーブーツ)」で日本人初のトニー賞ベストミュージカルを獲得している。

自身も中学以来のビートルズファンである川名氏が特に注目してほしいと語るのが、絶妙に再現された当時の空気感。「今の機材は、彼らの現役時代に比べてとても音がよくなっている。それでは本当のビートルズの音楽にはならない。当時の音を再現するため、機材の調整には時間をかけました」。また、ビートルズは、中期以降にはコンサート活動をせず、スタジオにこもっては実験的なレコーディングを続けて作品をリリースしていった。今作ではその中期以降の作品も演奏。「彼らがもしこの曲をライブでやったらこうするだろう、というのを一つひとつ検討し、音単位で再構成しながらつくっていきました」。つまりはこれまで誰も観ることのできなかった“幻のライブ”が観られるというわけだ。「どの会場でも親子で楽しんでいる姿を見かける。三世代で来てくれる方も。会場を見渡すたび、ビートルズを知らない世代にも彼らの曲は届くんだと確信します」。

ビートルズを演じるのは、オーディションで選ばれたミュージシャンたち。「『本物かと見紛うほどそっくり』という声もたくさんいただきますが、決してそっくりショーをやりたいわけじゃない。キャスト一人ひとりが人生をかけてビートルズと向き合い、曲に対峙したときに生まれるライブ感こそが、観客が本当に“ビートルズのライブを観ている”気持ちになるポイントだと思います」と川名氏は胸を張った。

今回の日本公演では特別に、1966年の武道館公演のシーンが追加される。しかも、一行はビートルズの聖地・リバプールでロングラン公演からの来日。49年のときを超えてリバプールからやってくるビートルズが、懐かしくも新しいライブを展開する。

公演は11月18日(水)から、東京国際フォーラム ホールCにて開幕。チケットは発売中。

取材・文/釣木文恵