少女漫画誌「なかよし」の60周年を記念して、手塚治虫先生(※塚の字は旧字体)の不朽の名作『リボンの騎士』がミュージカルとして上演されています。
主役のサファイア役に抜擢されたのは、乃木坂46の生田絵梨花さん。不定期連載「演劇少女」シリーズ、今回は上演前から話題となっている『リボンの騎士』について、主演の生田さんご本人にインタビューしました。
倒れそうになりながら、必死になってやっています
女の子の心と男の子の心、ふたつの心のはざまで揺れ動くヒロイン・サファイアを、生田さんはどう演じるのでしょうか? 稽古のお忙しい合間を縫って、じっくり語っていただきました。生田さんは、自らが演じるサファイアと、身体も心もリンクしながら舞台に臨んでいるようです。
――よろしくお願いします。ではまず、今作『リボンの騎士』について簡単に教えてください。
生田「いろんなキャラクターに出会って、どんどん話が展開していくスピード感のある作品です。その中で、私が演じる主人公のサファイアは、運命に悩み葛藤しながらも、その運命を受け入れ、向き合っていきます。また、いろんな登場人物の心の動きも見どころですね」
――生田さんが演じる主人公のサファイアは、女の子と男の子の心を持っていて、それが移り変わっていきます。演じるのが難しいキャラクターじゃないかなと思うんですが。
生田「はい、心がはっきりしている時だけじゃなくて、微妙に揺れ動いているので、難しさはありますね。このシーンではサファイアにとってどのくらいの割合で男の子なのか、女の子なのか、自分なりに分析してみたり、演出の上島さんと相談したりしながら、すごく考えています」
――なるほど、サファイアの心の割合を読み解いていくんですね。
生田「あと、男の子だけのときも難しくて! 女の子の心は、自分の等身大でもいられるんですけど、男性の心だけっていうのは、私が経験しようと思ってもできないじゃないですか?」
――ああ、たしかに!
生田「イメージするのはもちろん、稽古で、男性キャストの方にサファイアを演じていただいて、実際に動いてもらったりしています。男性の心だけになるところは、思いっきりできたらいいなって思っています」
――生田さんにとって、どのサファイアが一番演じていて楽しいですか?
生田「うーん、基本的に、サファイアは悩みながらもがいているキャラクターなんです。自分自身も「楽しい」というよりも、サファイアの役作りをするために、すごくもがいていますね」
――なるほど。リアルな生田さんと、サファイアがリンクしているんですね。
生田「そうですね。劇中に『本当の私』というナンバーがあるんです。その曲は、ずっと悩んでいたサファイアが自分の運命を受け入れて、「向き合っていくんだ」って意思を固めるシーンなので、思い入れが深いです。その曲は、自分でも力強く歌えるかな…。悩んでいたけど、決意が固まるような感じです」
――生田さんは乃木坂46の一員として舞台『16人のプリンシパル』シリーズにも出演されていますよね。今回のような、グループ以外の方と出演される舞台では違いは感じられますか?
生田「もう、全く違いますね…。グループで出演する舞台は、いつも一緒のみんなで支えあうっていう部分が大きいです。今回のような舞台は、なんていうか、自分の足でちゃんと踏みしめないといけない。私自身、舞台に関して、経験がそんなにあるわけではないので、倒れそうになりながら、必死になってやっています」
――お聞きしながら、そこでもサファイアと生田さんがリンクしていると感じました。サファイアも、すごく必死に生きているキャラクターですよね。
生田「そうですね…。ばあや役の野口(かおる)さんに、よく「これで大丈夫かな?」って不安を漏らしてしまうんです。野口さんはすごく明るいので、いつも励ましてくれるんですよ。「そのままでいいんですよ。そういう姿がリアルに生きてくると思うから」って」
――おお、ここでも現実と舞台がリンクしていますね。
生田「ほんとですね! ストーリー上でも、ばあやに「大丈夫ですよ」って何度も言われるので…。繋がっていますね」