スター・ウォーズを真似できない理由って?
―― なぜスター・ウォーズをモチーフに選ばれたのですか?
私とスター・ウォーズとの出会いは9歳のとき。3作目に当たるエピソードⅥが公開された年でした。この作品のインパクトによって、私の中でSFの扉が開きました。
SF映画は他にもたくさんありますが、星々で異なる文化や言葉、未来の過去・過去の未来など、ここまで細かく世界を作り込んだ人はジョージ・ルーカスしかいないと考えています。私にとっては、「SF=スター・ウォーズ」なのです。
―― 作品はどのような過程で作られるのですか?
写真を撮るときにはステップがあります。初めてその土地に訪れたときは、今朝のように小さいカメラで何も考えず撮りまくります。その段階では、作品に使えるような場所があるかどうかはまだわかりません。ただ「感じる」のです。この過程が「撮る」よりも大事。まずは、作品を作るための気持ちを呼ぶのです。
続いて作品にする写真の撮影に移るときは、まるでメガネをかけるように気持ちを切り替えます。例えば「Dark Lens」のシリーズだったら、「Dark Lensメガネ」をかけて。また、1つのシリーズのために撮った写真は、他のシリーズで使うことはありません。シリーズによってメガネ(=気持ち)も変わります。
―― 作品を作る際に気を付けていることは?
バランスがとても重要ですね。キャラクターのインパクトが強すぎれば、ただのスター・ウォーズの写真になる。足りなければ、スター・ウォーズとまったく関係の無い写真になってしまう。
何年か前に、「こんな作品は誰でも作れる」と言って真似をしていた人たちがいました。けれど実際に作られたものを見てみたら、ただおもしろおかしいだけの作品に仕上がっている。キャラクターや、その場所へのリスペクトが足りていないとそうなります。
それからもう一つ、私が作品を作る上でいつも心がけているのが“Intuition(直観力)”です。どうしてその作品を作りたい気持ちが生まれたかが大切です。他の真似する人たちも、この“Intuition”が足りない。ただのアイデアだけでは作れません。
「映画はすぐには観にいきません」
―― 日本で作品を撮影するとしたら、どこか撮影場所を決めていますか?
決めていません。まだ「感じる」段階です。作品として「撮る」ために、「Dark Lensメガネ」をかけてもう一回あっちこっち見て回ろうかと。でももう歳をとっているから、以前よりもゆっくりしたい気持ちが強いですね。若い頃はもっとペースが速かったかもしれない。
―― 来月、いよいよスター・ウォーズの最新作が公開されますね。
もちろん観に行きます。けれど、すぐには行きません。「スター・ウォーズだからどうしても観に行かないといけない」という気持ちではない。
私の作品も、スター・ウォーズのファンのためだけに作っているわけではありません。スター・ウォーズを知らずに、私の作品集を買ってくれる人もいます。でも、映画はもちろん観に行きますよ!