「エダニク」ゲネプロより 撮影:加藤孝
鄭義信が演出を手掛け、稲葉友、大鶴佐助、中山祐一朗(阿佐ヶ谷スパイダース)が出演する舞台『エダニク』が6月22日に東京・浅草九劇で開幕、7月15日(月・祝)まで上演中だ。
食肉加工センターを舞台にした本作。開幕に際し演出の鄭は「この作品の中には“人が生きるために、肉を食べなくてはならない”という大きなテーマが隠されているのですが、そのことが笑いの中から少しずつ染みていく形で、最後に観客にどう伝わっていくのか、今からとてもドキドキしています」とコメント。横山拓也(iaku)が2009年に書き下ろし、以降、さまざまな演出家、出演者によって再演を重ねられている脚本について鄭は「とてもしっかり書き込まれている作品なので、その中で役者がどれだけ自由にのびのびと遊べるかというのが、今回の演出の大きなテーマでもあります」と語る。その言葉通り、今作は、脚本を読んだだけでは想像できない、あらゆる意味で“稲葉、大鶴、中山、そして鄭だからこそ”と思わされる仕上がりに。そういう意味でも、もちろん芝居の面でも、演劇のおもしろさを堪能できる作品となっている。
3人芝居となっており、稲葉は「男3人の丁々発止なやり取りと鄭義信さんならではの演出がギッシリと詰まった劇を楽しんでいただけたら嬉しいです。多面的なテーマを持った演劇ですので何がどこでどうお客様に響くのかこちらも楽しみにしております」。大鶴は「3人の登場人物が持つそれぞれの思いや願いが交差し合い濃密な空間が舞台上を支配すると思うので、そこにお客さんも巻き込み、汗だくになって帰ってもらいたいです。ジェットコースターのような展開の中、3人それぞれの真実を見逃さないで欲しいです」。中山は「屠場(とじょう)という牛や豚を解体する場所での劇です。そこによくわからない兄ちゃんが入ってきて、帰ってほしいのに全然帰ってくれないというなかで色々な事件が起こる仕掛けとなっていて、元々の会話劇の面白さにアングラの鄭さんの演出が加わりパワフルなコメディとなっていますので大変観やすくて誰にもオススメです」とそれぞれコメント。
笑いもあって観やすいのに、それだけでは終わらせない3人にぜひ注目してほしい。また、この劇場サイズだから届く熱気や空気、見える表情の変化、香る食べ物の匂いも、本作をより濃密なものにしている。劇場でぜひ体験してほしい。
公演は7月15日(月・祝)まで東京・浅草九劇にて上演中。
取材・文:中川實穗







