8月11日(日・祝)と12日(月・休)に東京・DDD青山クロスシアター初となる落語会『青山らくごVol.1~DDD寄席~』が開催される。劇場で開かれ、落語家・柳家花緑、俳優・風間杜夫らが出演する、“落語界と演劇界がクロスする2日間”な本企画。その両日に出演する風間に話を聞いた。
8月11日は「~花緑と風間 落語×演劇の最強タッグ~」として柳家花緑、風間、柳家勧之助が、12日は「~風間杜夫と旬な若手たち~」として風間と笑福亭べ瓶、三遊亭とむ、三遊亭鳳月が出演するこの企画。そこに両日出演し、古典落語のネタを披露する風間は、“演劇界代表”とはいえ落語ファンにはおなじみの存在だ。俳優業のかたわら20年以上にわたり落語に取り組み、多いときは年間30ステージほども高座にあがる。実は1日目に共演する花緑はその活動のきっかけを作った人物。「僕が初めて高座にあがったとき、花緑師匠がすごく褒めてくださいまして。花緑師匠は小さん師匠のお孫さん、つまり人間国宝の孫でしょう?さすがサラブレッドですよ。人を見る目が違う。褒める人間を間違えない(笑)。師匠の眼力の鋭さに敬服しまして、『それじゃあやってやろうじゃないか』とね」とお茶目に笑う。
2日目の出演者は、二ツ目(落語家の階級。最高位「真打」のひとつ下)を中心に勢いある若手がズラリ。そんな若手との共演を「楽しみ」と語りつつも「でも中には『なんで風間杜夫なんだ』と思っている人もいるかもしれないからね!そこは芸でねじ伏せないと」と意気込んでみせる。では風間にとって“良い芸”とはなにか。「これは芝居も同じですが、上手い下手、好き嫌いはあれど、結局人を惹きつけるのって“人柄”だと思います。よく『芸は人なり』と言いますよね。そこに人間性が出るものだからこそ、僕がつまんないヤツだと噺もつまんなくなっちゃう」。『芸は人なり』は柳家小さんの言葉でもあるが、俳優・風間と縁が深いつかこうへいの考えにも通ずる。「つかさんも、そうやって僕らを前に出してくれました。お客さんに判断してもらえ、と。お前の中にある愛嬌だとか正義感だとか卑屈さだとか人を嫉む気持ちとか、とにかく人としてのいろんなものを観てもらえ、そして『でもやっぱり風間はいいな』と言われるようになれ、と」。
本企画を前に「花緑師匠と同じ板の上に出られることはしあわせですし、若手の皆さんの高座を拝見して刺激を受けるのも楽しみです。落語はいつも修行のつもりで出ていますが、僕が落語を楽しんでることは、お客さんに伝えたいですね」と語った風間。70歳を迎えてもなお進化し続ける風間と落語家たちの、DDD青山クロスシアターでしか観られないコラボをお楽しみに!
取材・文:中川實穗