こうなるとこれからも『クレヨンしんちゃん』の活躍を期待したいところだが、気がかりな点がある。過去には2009年に原作者である臼井儀人氏の死去が最大の危機だった。漫画、アニメともに継続の危機に立たされたが、御家族を含めた関係者の尽力により、『新クレヨンしんちゃん』として漫画連載は継続されることになり、スピンオフ作品の『クレヨンしんちゃん SHIN-MEN(シン-メン)』も制作されている。そしてテレビアニメや劇場版も無事継続されることとなった。
「まんがタウン」誌上における連載を読む限りでは、原作者である臼井儀人氏の死去に伴う質の問題は無いと言っても良いだろう。藤子・F・不二雄氏の『ドラえもん』や、完結編の発表が決まった『サイボーグ009』のように、プロダクション形式で続けられる名作も少なくない。『クレヨンしんちゃん』も漫画やアニメは現在の形で続けられるだろう。
すると残る気がかりは声優だろうか。イベントでは、野原みさえの声優を務めるならはしが「20年立つと本体は劣化してしますけど、声だけは劣化させないように頑張っていきたいです」、野原ひろし役の藤原も「気がついたら20年だったので、気がついたら30年だったら良いなと。気負わずにこのままでやれれば一番」と希望を口にした。
先に書いた『ドラえもん』や『ルパン三世』などでは、理由は様々だが声優の交代が行われている。人気作品であるだけに、一度印象に残った声のイメージは強い。『ルパン三世』の山田康雄から栗田貫一の禅譲に似た形もあれば、『ドラえもん』ではメインの5人がそっくり入れ替わった。この先、レギュラー声優陣がどこまで頑張れるかは、神のみぞ知るところだろう。
最新の「まんがタウン」5月号では、しんちゃんの家にインターネット電話が導入され、4人の祖父母と愉快な会話を行っている。時代劇ドラマの『水戸黄門』は昨年で終了してしまったが、こちらの“黄門様”(つまりお尻の方)は相変わらずの大活躍だ。そんなところはPTAにとって悩ましい点なのだろう。それでもしんちゃんスタイルはこのまま続けてもらいたい。