アトキンソンさんの解説によると、「外国人が日本への旅行で感動しているのは、『日本人1人ひとりの礼儀正しさ』『困っていたら助けてもらえた』『道を案内してもらえた』など個人的な親切である一方、ホテルや旅館、レストランなどで受けた『おもてなし』が素晴らしいなどという声はあまりないのが現実なのです。

むしろ、日本のホテルや旅館、レストランなどは、一方的に日本のやり方やサービスを押し付ける、臨機応変が利かない、堅苦しいなどと、酷評されているケースが多いのです」とのこと。

これらを見ていると、日本人そのものの礼儀正しさや親切な部分を外国人は評価しており、一方、日本のサービスとしての「おもてなし」は、あまり認知されていないのです。

とはいっても、なかなかピンときませんよね。テレビや新聞などメディアからは、「クールジャパンの成功」や「おもてなしが人気」という言葉が見聞きされます。すっかり外国人から高評価だと思っていたのですが、実は様子が違うよう。

これは別のランキングからも確認することができます。2014年に日本政府観光局が発表した外国人の観光客数は、2年連続での過去最高でした。

しかし、国別のランキングで見てみると、日本は26位。実はこれ、同じアジアの韓国、タイ、香港よりも人気が低いのです。オリンピック開催もあり、日本の人気は上位かと思いきや、全然違うのです。すっかり日本の「おもてなし」に自信をもって、あぐらをかいていました。

そこで指摘のあった「日本のサービス」に目を向けてみました。確かに、日本のサービス業には多くのマニュアルが存在します。マニュアルは心強く、その通りに動けばトラブルも回避しやすいです。逆に、お客さんからイレギュラーなお願いを受けると、困ってしまう人も多いですよね。

アトキンソンさんは、その理由に「ゴールデンウィーク」が関係していると分析します。今年の連休でも見られるであろう車の大渋滞や、乗車率100%超えの電車……、日本の休日はゴールデンウィークに集中しており、ここぞとばかりに皆大移動。観光地を目指して集まるのです。

当然ですが、観光地でのホテルや旅館としては、この時期は「かきいれどき」として大忙し。フル稼働で多くの売り上げをあげます。

そうなると目の前のお客さんをさばくことが主目的となってしまいます。この時期に登場する特別プランやセットメニューは、一度に多くのお客さんにサービスを提供するために、宿側の都合で作られたパッケージ。一人ずつお客さんの要望に対応していると、サービスがまわりませんからね。よく考えてみるとこれは「おもてなし」と真逆をいくものですよね。

ほっておいても観光客が訪れるといった恩恵を受ける制度では、観光客を呼び込むための独自の努力を怠るようになります。おもてなしに尽くせたかというと、そうでもないケースもあるでしょう。すると、日本がかかげている「おもてなし」のイメージと少しずつ乖離していってしまうのです。