白井健三の名を一躍知らしめたのは、3年前の『全日本体操種目別選手権』だった。床でF難度の後方宙返り4回ひねりを決めるなど、ひねってひねってひねりまくり、初優勝を決めたのだった。高校2年、16歳の時である。その4か月後、期待の新鋭は『世界体操選手権』床で初出場初優勝を飾り、一気に世界の頂を駆け上がった。予選では後方伸身宙返り4回ひねりと前方伸身宙返り3回ひねりの新技を決め、その後「シライ」「シライ2」と命名されたのだった。
あれから、3年。『世界選手権』団体と床で金メダルと銀メダルを獲得するなど、順調な歩みを進めてきた白井が、初の『五輪』を見据え、『全日本種目別選手権』に出場する。6月2日の公開練習・記者会見に臨んだ白井は、思い入れのある大会で『リオ五輪』出場を決めるという強い気持ちを表した。
「3年前に僕の名前を売ってくれた大会。今も鮮明に覚えています。『全日本種目別』は強い白井健三が出る大会だと思っている。この大会で日本代表には白井健三が必要だと思われるような演技がしたいです」
跳馬では新技挑戦の可能性を探る。「シライ/キムヒフン」(伸身ユルチェンコ3回ひねり)からさらに半回転ひねりを加えようとしているのだ。
「(五輪選考の)『全日本選手権』から『NHK杯』までちょっと自分らしくない、小さい演技になってしまった。跳馬の3回半ひねりは1本目に可能性があるなら、やってみたいです。挑戦してみたいけど、少しでもできないと思ったらやめます。(リオの前に)『全日本種目別』で試せるというのは贅沢な話です」
『五輪』など、国際大会で新技を成功させれば、またも自分の名前が命名される。だが、19歳になった白井は、伸身ユルチェンコ3回半ひねりを演技構成に組み込むか否かは団体戦の戦況次第だと語る。
「3回半ひねりは種目別で勝つために必要かどうかより、団体の金メダルのために必要かどうか考えたい。団体の金メダルが最優先ですから」
さらに白井は「得意種目に絞っての出場なので、自信を持って臨みたい。(床と跳馬の)スペシャリストとして臨みたい」とキッパリ。
また、記者会見には昨年の『世界選手権』床で4位入賞した宮川紗江と、『全日本選手権』個人総合4位、『NHK杯』4位となった内山由綺も登壇。彼女らも、「『五輪』に出るのが最大の目標なので、そこに向けて自分の演技をしっかりやりたいです」(宮川)、「段違い平行棒は優勝できるように、平均台はノーミスで、床は表彰台に上れるようにしたいです」(内山)と『全日本種目別』でリオへのキップを勝ち取ろうとしている。
『第70回全日本体操種目別選手権』は6月4日(土)に予選、5日(日)に決勝を国立代々木競技場第一体育館にて開催。チケット発売中。