Photo:TOMINAGA TOMOKO/Hair and Make-up:TSUSUMI SAYAKA/Stylist:ISHIBASHI SHUICHI

 江戸川乱歩の「少年探偵団」シリーズを原案にした新感覚学園ミステリー『超・少年探偵団NEO-Beginning』が10月25日から公開される。本作で少年探偵団の団長・小林少年のひ孫の芳狼を演じた高杉真宙に、映画の裏話などを聞いた。

-原案となった江戸川乱歩の小説を読んだことはありましたか。

 小学生のときに少しだけ読んだことがありました。表紙の絵がとても印象的だったことを覚えています。

-原作を読んでいたのなら、今回の役にもすっと入っていけましたか。

 「あっ、あれだ」というのはもちろんありましたけど、細かいところまではあまり覚えていませんでした。ただ、ワクワクする感じは覚えていたので、今回、そういう作品に関われたことはとてもうれしかったです。それから、やりたいと思った一番の理由は、こういう作品が世代を超えて、僕よりも若い人たちにも読んでもらえるきっかけになればいいなと思ったからです。

-役作りとしては、どんなことを心掛けましたか。

 芳狼は周りからすごく守られているので、結構普通に生きてきたんだろうなあと思いました。性格的にはひらひらとかわすような、つかみにくいキャラクターだなあと思いながら演じていました。後は、現場で他の人たちの演技とすり合わせをしながら、声のトーンなどで、自分がどんな反応をするのかを考えながら演じました。

-高校生を演じることについてはどう思いましたか。

 実際に撮影したのは2年ぐらい前で、まだ21歳でした。ただ、この年齢で高校生の役をやるとしても、そう見えるようには努力したいなとは思いますし、まだそう見えると思います。なので、高校生の役だから、と特に意識することもありませんでした。髪を短くしたりして、少し幼い感じに見えればいいなと思っていました。

-芳狼を自分の世界に引き込もうとする怪人二十面相は『スター・ウォーズ』のダース・ベイダーのようでした。他の作品の影響みたいなものは感じましたか。こうしたミステリーやSFを演じるのはお好きですか。

 やっぱり、敵を追い詰めていくところなど、こういう作品ならではの、子どもの心をくすぐるところには共通点があると思います。こういう作品は演じていても楽しいです。ただ、こういう世界観がはっきりしたものは、自分の中で想像を広げていかなければならないところが難しいです。台本に書いてあることに何を足していけるかが大事になると思います。その足し算に関しては、想像力はもちろん、現場に行ってから分かることも多いです。

-佐野岳さんとは以前から共演していますね。

 以前と印象が変わったところはありません。佐野さんは、いつも温かく包み込んでくれるキャラクターで、今回も現場を引っ張っていってくれました。僕に対してはいつもお兄さんみたいにいてくれるので、ありがたいなと思います。

-今回は一種のグループ劇でしたが、堀田真由さんら、他の共演者の印象はいかがでしたか。

 僕は割と人見知りなのですが、今回はお会いしたことがある方ばかりだったので、楽しくできました。今回の役は途中から孤立してしまうところがあったので、最後にみんなが助けにきてくれるところは、役としてもうれしかったりして、役得だなあと思いました。

-今後演じてみたい役はありますか。

 戦争物をやってみたいです。今回もそうでしたが、俳優は人に何かを伝えることができる仕事だと思うので。僕は戦争を経験していませんが、その場に立って何かを感じてみたいと思いますし、それを、画面を通して誰かに伝えたいと思います。丸刈りもしてみたいです。

-では、本作の見どころをお願いします。また、どんな人に見てもらいたいですか。

 僕が小さい頃に感じたワクワク感を、詰め込んだ作品になっていると思います。みんなで集まって秘密基地を作るような感覚を思い出させてくれる作品になっています。ストーリーは分かりやすく、家族や友情の話など、誰もが共感できる部分もあって、エンターテインメントとして楽しんでもらえると思います。大人の人たちには懐かしさを感じながら見てもらいたいし、僕よりも年下の人たちには、これをきっかけにして原作を読んでほしいと思います。そんなふうにつながっていくものを僕は作っていきたいと思います。

(取材・文/田中雄二)