結成から28年、いまなおお笑い界のトップを走り続ける漫才コンビ、爆笑問題。その人気の理由は改めて言うまでもなく、世の中のあらゆるモノゴトに食ってかかる切れ味鋭い“時事漫才”だ。
6月29日(水)に発売される最新DVD『2016年度版 漫才 爆笑問題のツーショット』でも、芸能ニュースから政治、流行や世相まで、激動の現代をさらなる猛スピードで笑いに変えていく、約80分にも及ぶノンストップ漫才が楽しめる。
そこには、途切れることなく畳み掛けられる爆笑必至の時事ネタの数々と、「人はここまで全力でフザケ続けられるのか!」と思わず圧倒される、太田光、田中裕二というふたりの芸人の “凄み”が記録されている。
しかし思えば、少しの悪フザケや、ちょっと目立つ言動や行動をしただけで、インターネットを中心にあっという間に糾弾の的になってしまう、言わば“炎上社会”となった2016年の日本。
「実在する人物・実際に起きた出来事をネタにして笑いを取る」という彼らの芸風は、ある意味「最も炎上しやすい芸風」とも言えるのではないか。
一貫して時事漫才=世の中をネタにし続けている爆笑問題のふたりはいま、なにを考え、この時代と向き合っているのか――!?
……と、カタい話は一旦置いておいて、まずは多忙を極めるなかで、この「長時間のノンストップ漫才」というハードな試みをはじめた、そもそものきっかけの話から聞いてみた。
最初は1時間以上も漫才をやってもどうかなと思ってた(太田)
太田「そもそものはじまりは、コンテンツリーグ(このDVDを企画・製作している会社。爆笑問題が所属する事務所・タイタンもパートナーとして参加している)に命令されて……(一同笑)。俺が知らないところで勝手に会社ができていて、なにかDVDを出さなきゃいけない空気になってて」
田中「(笑)」
太田「そこでなにがやれるのかを考えたときに、手っ取り早くできるのは漫才かなと。その前からライブで1時間ちょいの漫才は何度かやってたんだよね。それもタイタンを作ったときに『なにか漫才をやりなさい』って言われて。
それまで自分たちのライブっていうのはコントだったんですよ。コントを6~7本やって、最後に漫才っていう感じだったんだけど、だんだん時間もなくなってコントが作れなくなって。それで漫才をやることになったんです。
最初は1時間以上も漫才をやってもどうかなと思ってたんだけど、当時エディ・マーフィのワンマンライブのビデオが出てて、それを見るとひとりで2時間近くずっとしゃべり続けて、ガンガンウケてたんだよね。それでこのスタイルでやってみようと」
田中「このDVDシリーズをはじめたときも、そのライブでやっていたときの感覚をなんとなく覚えていたので、ネタを作って稽古をするのに時間がかかることを除けば、ある程度イメージはできましたね」
太田「でも時間が読めないんだよ、相変わらず。全然読めないんだよな」
田中「いつも現場で1時間20分くらい(漫才を)やって、編集で1時間10分くらいに収まればいい感じなんですよ。まずネタはだいたい数十個は作ります。毎回僕がネタの順番やセレクトなどを決めるんですが、それぞれのネタは長さがバラバラなので、とりあえず多めに作って、これで足りないってことはないだろう!という感じで。
で、やってみると最初は2時間くらいかかるんですよ。もちろん練習もできてないから、途中の間がよくないのもあるんですけど。そこから『このネタは弱そうだな』とか、だんだん削っていって。今回は本編80分に収まりました」