変わらぬ色鮮やかなワンダーランドと、ヴィクトリア時代の女性
前作でも大きな要素となっていた、ワンダーランドの住人の、華やかで、独創的なコスチューム。
今作『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』も、引き続き、コリーン・アトウッドが手がけており、魅力は健在です。
その自由でカラフルなワンダーランドの雰囲気とは裏腹に、今作『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』では、ヴィクトリア時代を生きるアリスが、“女性” として社会に立ち向かう、シビアなシーンも盛り込まれています。
「女性の権利がなかったヴィクトリア時代に、自分のやりたいことを明確に持ち、現代的でモダンな考えを持っているアリスの人物像は、この映画だけではなく、ルイス・キャロルが書いた原作のアリスも同じなんだ。」
と、ジェームズ・ボビン監督。
自分と社会、そして古い考えを持った母との対峙は、今作『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』の大きなテーマとなっています。
自分に嘘をつかない選択をすることで、自分らしさを勝ち取った前作のアリスは、それだけでは渡っていけない “社会” との戦いに、どのような形で決着をつけるのでしょうか?
ちりばめられたオマージュの数々に注目!
原作ルイス・キャロルの本に添えられた、ジョン・テニエルの挿絵に、大きな影響を受けたと語る、ジェームズ・ボビン監督。
テニエルの描いたオリジナルのアリスは、“テニエルアリス” と呼ばれ、現在も多くのファンがいるほか、1951年のディズニーアニメーション映画『ふしぎの国のアリス』にも多くの影響を与えています。
風刺画家であったテニエルが描いたアリスの世界は、想像上の世界でありながら、どこか現実的な劇画の要素を含んでいます。
ジェームズ・ボビン監督は、その劇画の要素に注目し、想像の世界にリアリティを盛り込むことで、よりキャラクターを生きいきと “存在” させています。
ジェームズ・ボビン監督が影響を受けた、絵画や、作品のオマージュは、今作『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』のところどころに、ちりばめられています。
ディズニーの『ふしぎの国のアリス』からの影響はありますか? と聞いたところ、
「赤の女王が従えている、トランプの兵隊の動きに、アニメーションからの影響が感じられると思うよ」
とのこと。