この20年でいちばんキツかった仕事は?

バイきんぐ・小峠英二(左)、西村瑞樹(右)

小峠「7〜8年くらい前ですかね、秩父の山奥で10日間、特番の企画で超能力合宿をしたんです。芸人10人くらい集められて、パワースポットみたいな神社で寝泊まりしながら修業を積み、超能力を芽生えさせるみたいな。

食事前には、“どの紙コップに記号が書いてあるか”的な透視の練習をさせられるんです。それをはずすとメシ抜き。僕はほとんど、食べられませんでした……。一方で西村はナゾの能力が芽生えて毎食、食べてました」

西村「合宿で太っちゃいましたよ(笑)」

小峠「僕らはこの企画に、オーディションで選ばれたんです。その内容が、紙コップを裏返しにして、底に漢字でもマークでもなんでもいいから書く。ただ、自分が強く念じられる文字にしろと。他にまっさらの4つの紙コップを足して、どれが書いたコップかを当てるんです。

僕は“笑”という字を書きました。それで開けてみたら、偶然当たった。西村も当たったんですが、底を見てみたらコイツの書いた文字は“毒”」

西村「全く売れていない時期だったから、心が荒んでいたんでしょうね(笑)」

小峠「しかも結局、その番組で映った時間は僕が3分、西村は2秒ですよ」

西村「“そんな厳しい合宿で、毎食食べられるヤツは面白くない”って(笑)」

小峠「しんどい仕事はままありますけど、たいてい1〜2日で済むんです。これは10日間もあったのがキツかった。2日過ごしても“あと8日”とか、全然減った気にならない」

西村「確かに僕もあれが一番キツかったかも。“超能力を研ぎ澄まさなきゃいけない”と言われて、携帯を没収されてね。娯楽が全くないのがつらかった〜」

小峠「今思えば、あの透視の練習ほどムダな時間はないな(笑)」

この20年でいちばん恥ずかしかった瞬間は?

バイきんぐ・西村瑞樹

小峠「何年も前の話ですが、僕らが人生でいちばんスベった日ですね。

当時はまだ僕がボケ、西村がツッコミ。変なネタばかりやっていた時期で、ライブで披露したネタが僕は大工の親方、西村が弟子という設定でした。西村が釘を飲み込んで、“親方、釘を取ってください”と言う。通常なら吐き出させるんでしょうけど、僕は西村を四つん這いにさせて、カンナで背中を削って釘を取るというネタでした。

よくライブで芸人がスベると“あまりの静けさに、空調のブーンという音が聞こえる”と言いますが、そんなの最初からずっと聞こえてた。途中、僕らのコントがあまりにつまらなかったんでしょう、席を立ったお客さんがいたんですよ。その人が席を立った瞬間、膝がパキッと鳴った音までが聞こえて……。あれは恥ずかしかったです」

西村「別のライブで、小峠が公開録音をしているラジオDJ、僕がそれを聞いていた入院中の患者という設定のコントをやったんです。洗濯機の排水ホースを腸に見立て、DJのところに駆けつけた患者の腸が飛び出るみたいなネタだったんですけど、さっき小峠が話した日と同じくらいスベって。

ライブ後に、マネージャーから“オマエら、このネタもう1回でもやったらクビな”と、そこでもクビを宣告されるという。みんなの前で言われて、恥ずかしかったな〜。排水ホースは、その日に捨てました(笑)」