主演男優の岩瀬亮は、韓国では加瀬亮に負けない人気

セビョクさん「私が彼女でも、ユウスケになら安心して着いて行きますよ(笑)。岩瀬亮さん演じるユウスケには純粋なものを感じるので。

それは岩瀬さんご自身の持つ純粋さでもあると思います。映画の中と、実際の私たち2人が徐々に親しくなっていく姿は重なっているので。」

チャン監督「五條に行った韓国の女性たちが、『やっぱりユウスケは居なかった』とSNSに書き込むんですよ(笑)。岩瀬亮さんは韓国では今や恋人にしたい俳優ナンバーワンなんです。ボク調べですけど(笑)。

加瀬亮さんに負けない人気者なんですよ」

ーー岩瀬亮さんは第二のディーン・フジオカになれるかもですね。あと第二部はどこか『恋人までの距離』を思い出させます。

あの映画は男女とも外国人旅行者でしたが、この映画では旅行者は女性の方です。

その点がより、女性にはロマンチックに、ドラマチック感じられるのかもしれません。

チャン監督「男女が逆のパターンも考えなくはありませんでした。実は韓国映画では、今まで韓国人男性と日本人女性の恋は描かれても、逆のパターンが描かれることは圧倒的に少なかったんです。

これについてはたくさん論文が書かれているほどです。歴史的な背景から無意識のうちに避けていたのかもしれません。でも僕は男としてではなく、人間としての岩瀬亮を知っています。昔から友達なので。

彼なら大丈夫だと思ったし、実際にこの作品は韓国で受け入れられました」

セビョクさん「私自身は『恋人までの距離』のように外国人同士が旅先で出会うというパターンが一番ロマンチックに感じられます。次に会えるかわからないほうが、切ないですから。

でも、それを監督に言ったら、そんな(ロマンチックすぎる)出会いは事故に遭うくらいの確率だよ、って言われしまって(笑)」

チャン監督「実は岩瀬亮さんは、8月に韓国で公開になる『最悪の1日』という恋愛映画にも出ているんです。

こちらでは日本人作家がソウルに行って、韓国の女性と出会うという逆のパターンなんです。見比べてみると面白いと思います」

『ひと夏のファンジア』は東京ユーロスペース、大阪シネヌーヴォほかにて上映中。

取材協力:ときのもりLIVRER

いしづ あやこ:映画評論家、コラムニスト。足立区出身。洋画配給会社に勤務後、ニューヨーク大学で映画製作を学ぶ。カンヌほか海外の映画祭をめぐり、映画と食と旅の三大欲求を満たす日々。好きな監督はクリント・イーストウッド、ジョニー・トー、ホン・サンス、北野武ら。心の恋人は片岡仁左衛門。趣味は俳句。俳号は栗人。