The Brow Beat

 PENICILLINのHAKUEIトータルプロデュースの下、俳優・佐藤流司がアーティスト「Ryuji」として結成したバンドプロジェクト「The Brow Beat」の3rdアルバム「Adam」が2020年1月1日に発売される。1月10日からは東京・大阪・名古屋・福岡・札幌を回る「Zepp TOUR」、1月17日仙台でのRyuji BIRTHDAY LIVE、さらに東京凱旋LIVEとしてLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)での2daysも決定している。バンドがスタートして3年目、さらなる進化を続けるThe Brow BeatのHAKUEIとRyujiにアルバムに込めた思いを聞いた。

-3rdアルバム「Adam」の発売おめでとうございます。「Adam」というタイトルにはどんな思いが込められているんですか。

Ryuji “Adam(アダム)”の誕生から現在までを追っていくアルバムを作りたかったんです。その時間には、人類を作り上げてきたものや、システムや、実際に起きた事件というものがあって、それを表現したかった。そう考えていたときに上がってきた楽曲の1曲に「これが“Adam”にふさわしい」というものがあって、それを当てはめました。

-なるほど。楽曲的には、今回、これまでのアルバムよりも、よりロックっぽさが前面に出ている印象がありましたが、それは意識されたのでしょうか。

HAKUEI そこは意識したかもしれない。Ryujiくんはもともと役者で大成して、そこから世の中に知れた人だから、プロジェクトがスタートした当初は、彼のファンがロックに対して、バンドというものに対してどんな思いを持っているのかを気にしていたところが正直あったんです。でも、アルバムを作って、ツアーをやっていくうちに、意外とジャンルは関係ないんだなということが肌感として分かってきた。
 それで、今年の野音(日比谷野外音楽堂)で「サザンクロス」という曲をやったんです。あの曲は僕たちの自己満のような曲で(笑)、絶対に賛否両論あるだろうと思ったけれど、でもそれも表現の一つとして甘んじて受け入れる覚悟で発表してみた曲なんですが、すごく盛り上がったし、(その日のライブの)アンケートの結果を見ても好評だった。それって、きっと、僕らがやっているツインボーカルのスタイルとか、いろいろなピースがガッとハマって、その熱量やエネルギーがメッセージとして伝わった結果だと思います。
 そのときのお客さんの反応を受けて、よりThe Brow Beatとしてみずみずしい、生き生きとした表現ができるものをやるべきだと思って作っていたら、ロックバンドらしい曲がどんどん出てきましたね。

-アルバム内の楽曲についてもお聞かせください。まず「灯籠流し」。これは、今年の野音に合わせて配信された楽曲で、Ryujiさんが初めて作曲された曲ですね。どんなイメージから作った曲ですか。

Ryuji 「睡蓮」という楽曲のアンサーソングをイメージしました。「睡蓮」よりも、もう少しネガティブな歌にしたかった。それで、切なさのある曲調と楽器を用いて、2コーラス目のAメロに子どもの笑い声を入れたりということをして、物悲しい雰囲気を作り上げました。

-もう1曲のRyujiさん作曲の楽曲「ヤタガラスの影踏み」についても教えてください。

Ryuji 「ザ・聞きやすい曲」をコンセプトに作った曲です。俺自身、和楽器が大好きだということもあって、和風な耳なじみの良い、キャッチーなメロディーを乗せたナンバーがほしいと思って作りました。Bメロに(童謡の)「かごめかごめ」のメロディーと歌詞をそのまま乗せていて、すごく日本的な曲調に仕上がったと思います。

-「L.R」は「サザンクロス」に続く、ロックな楽曲で印象に残っています。

Ryuji 最初に聞いたとき、俺も衝撃を受けました(笑)。

HAKUEI (「L.R.」の作曲を担当した)tatsuoくんに曲を書いてほしいという話をしたときに伝えた言葉通りの曲がきたので、遠慮がないなって(笑)。でも、すごく好きな感じだった。

-どんな注文をしたんですか。

HAKUEI それは言えない(笑)。でも、もうちょっとラウドなロックを容赦なくやりたいというようなことです。そうしたら、ゴリゴリな曲がきた(笑)。

-確かにゴリゴリではありますが、サビはポップで聞きやすいと思いました。

HAKUEI そこは守りたいと思っています。ロックバンドってものすごく自分たちの姿勢が反映されるものではあるけれども、聞いている人にも伝わらなければいけない。そこはエンターテインメントとして成立していないと、どんな音楽もやっていけないと思うので、そこは考えています。

-今回のアルバムでは、ツインボーカルの楽曲もこれまでよりも多いですね。

HAKUEI 制作する流れで自然にこうなってきました。でも、(HAKUEIとRyujiは)声のコントラストやカラーが全然違うので、意味のあるツインボーカルになっていると思います。それが、3枚目にしてだんだん分かってきた。なので、表現の一つとして、いろいろな曲で使い始めているという感じです。

-改めて、今回のアルバムへの思いをお聞かせください。

Ryuji 今回、3rdアルバムを作るにあたって、3作目だからこそ一生の思い出に残るぐらいの作品にしたいとHAKUEIさんに相談させてもらいました。音楽に限らず、映画も3作目というのは意外と落ちがちなので、そうならないようにという思いを持って臨んだアルバムです。今、出来上がったものを自分で見ても、今までに負けてない作品が出来上がっていると思うので、世に出るのが楽しみです。

HAKUEI 今回、いい意味で落ち着きがないものができたんじゃないかなと感じています。でも、それこそが、僕らが目指しているバンドのスタイルだと思います。アンサンブルやリズムなどにはこだわりまくってはいるのですが、聞いた印象としては躍動感があるロックバンドのサウンド。いい進化をしていると思っているので、早くみんなに聞いてもらいたいですし、反応が楽しみです。

-そして、Zeppツアー、LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)での2daysに向けての思いは?

Ryuji 今までとテイストの違うライブ、全く新しいThe Brow Beatを見せていきたいと思うので、ぜひ皆さん、新鮮な気持ちで見に来ていただければ。今回、なんでツインの曲が多いのかという真意もライブに来ていただければ分かると思うので!

HAKUEI The Brow Beatの今のスタイルは、既製にない新しいスタイルだと思います。なので、自分たちでもやっていくうちにどんどん新しい表現が出てくることを楽しんでやっているのですが、それが3作目にして理想に近いものにチャレンジできたと思っています。これまでのツアーを見た方も、1回、リセットして、また新しいThe Brow Beatを見に来てもらえればと思います。

(取材・文/嶋田真己)

 3rdアルバム「Adam」は2020年1月1日発売。3rdツアー The Brow Beat Live Tour 2020 “Adam”は1月10日にZepp Divercity Tokyoほか大阪、名古屋、福岡、札幌で開催。1月17日には「Ryuji BIRTHDAY LIVE」をSENDAI GIGSで、2月21日・22日には東京凱旋ライブをLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で開催。詳細は公式サイトで。
公式サイト https://thebrowbeat.jp