アーティストやキュレーターの解説と共に現代アートにふれる

4月からぴあでスタートしたプログラム「ART MEETS YOU!」。
これは、現代アートへの疑問に答え、その面白さや複雑さを考える学校を運営してきたNPO「AIT / エイト」とぴあが協力し、アートの力によって感性の受け皿を広げる通年プログラムです。

第2回となる今回、取材したのは、『アーティストとキュレーターと観る展覧会:森美術館「六本木クロッシング2016展:僕の身体(からだ)、あなたの声」』約20名の参加者の皆さんと共に、その模様を見学してきました。

「六本木クロッシング」は、森美術館が2004年から3年に1度開催してきた日本のアートシーンを総覧する定点観測的な展覧会。

現代アートと聞くと、難しく感じられるかもしれませんが、この日は冒頭で森美術館館長の南條史生さんに美術館や今回の展覧会についてお話いただいた後、共同キュレーターの小澤慶介さん、そして出展アーティストの毛利悠子さんと松川朋奈さんの解説を付きで、作品を観ていきました。

作品に込められたアーティストの想いとは?

会場に入って最初に展示されていたのは、毛利さんの作品「From A」。

毛利悠子
《From A》
2015-2016年
展示風景:「六本木クロッシング2016展:僕の身体、あなたの声」森美術館、東京、2016年
撮影:永禮 賢
写真提供:森美術館

白く大きい壁に扇風機やコード、トライアングル、ハタキなど日用品がランダムにぶら下がっていて、偶発的に発生するエネルギーによってそれらが動く作品です。その動きはある種の生態系のよう。

作者の毛利さんの説明によれば、これらは毛利さん自身が昨年、ニューヨークに住んでいた時に拾い集めたもので再構築しているのだそう。

そこにあった「A」というオブジェを起点に「風景みたいなものができないかな」と思って創作が始まったそうです。

そして今回のイベントのテーマでもある多様性を表すため、「かつて人が生まれた太古の昔の時のことや人が滅びていくときの音やしぐさが作れないか」と考え、完成したのが「From A」だということです。

また、会場に入って最初に目に入ってくるものということで、この後につづく他の作家の展示作品に備えニュートラルな気持ちで見られるものということも意識したとおっしゃっていました。