その漫画『キングダム』ですが、混乱の時代を描いているだけに、これでもかと言うほどに人が死にます。雑兵は十把一絡げどころか、100人、1000人がまとまって吹き飛ばされていきます。また展開を左右する重要なキャラクターまでもが、「あれ?」と思うほどにあっけなく死んでいきます。基本的には史実に基づいた展開なので、戦争の勝敗や、人物の生死なども予測できるのですが、それを超えて心を動かされる作品なりの演出が随所に見られます。コミックスは26巻まで発売中。インターネットのヤングジャンプ公式サイト「キングダム資料集」では、1話~4話を試し読みすることも可能です。おそらく読み出したらそれだけでは止まらないと思うのですが、未読の方はぜひ試し読みしてください。
この漫画『キングダム』が、6月4日から、NHKBSプレミアムでアニメ化されます。さすがに血しぶき飛び交う漫画は、地上波では難しかったかなと思うのですが、前述した『蒼天航路』や6月23日に映画が公開される『ベルセルク』(三浦建太郎)なども、それ以前に地上波アニメになったことを考えれば、表現の具合にもよるのでしょう。つまりは「NHK、思い切ってやってくれるのかな?」と期待できるかもしれません。
もちろん主人公は信ですが、ここは“秦の怪鳥”とあだ名のある王騎将軍に期待したいと思います。信にオカマといわれてしまうほどの奇行やおかしなセリフの多い王騎将軍が漫画以上に動いてしゃべるのですから、さぞテレビ画面を賑やかにしてくれるのではないでしょうか。ただ惜しいのは、漫画が連載中であることです。おそらくアニメの最終回は「俺達の戦いはこれからだ!」的なものになると思われます。もちろんそれはそれで良いのですけれども、アニメ化するのであれば、最初から最後までキッチリ作って欲しいものです。漫画連載が継続している現在では難しいのでしょうけれども、完結後にでも良いので、ぜひ企画を上げて欲しいと思います。
またアニメ放送前の5月27日には、特集番組「アニメが生まれる瞬間~アニメ・キングダムの制作現場より~(仮題)」が放送されます。歌舞伎の中村勘九郎がナビゲートとなり、アニメの製作現場やアフレコ現場などを見ることができるようです。こちらは『キングダム』ファンだけでなく、アニメファンも見逃せない番組になりそうです。
「ヤングジャンプ」で連載中の『キングダム』では、秦以外の6国が連携して秦に攻め込んできます。強国の秦と言えども、6国の連携攻撃には防戦一方となり、最後の砦とも言うべき函谷関での戦いが繰り広げられています。もちろん信は活躍しているのですが、敵味方ともに強者ぞろいで予断を許しません。当然ここも歴史の流れに沿った展開なので、一応の結末は予測できるのですが、そこに至る作品なりの展開が楽しめそうです。