他にも、「レガる」という低視聴率をあらわす言葉まで生まれた2006年の『レガッタ~君といた永遠~』(平均視聴率5.4%)や、『ひと夏のパパへ』(同5.6%)、『下北サンデーズ』(同7.3%)、『鉄板少女アカネ!!』(同8.8%)などが、最近では1話短縮で終了している。
そして今期は、『家族のうた』だけでなく、日本テレビ系水曜10時の『クレオパトラな女たち』も、6月6日放送の第8話で終了することが決まっている。ただ、こちらはあくまでも編成上の理由で8話になったと、局側はコメントしている。
『クレオパトラな女たち』は、美容形成外科クリニックを舞台にしたドラマで、脚本は大石静。佐藤隆太、稲森いずみ、北乃きい、余貴美子、綾野剛などが出演していて、7話までの平均視聴率は、7.7%となっている。自分は美容形成にまったく興味が無いが、それでも今期の連ドラの中では『リーガル・ハイ』に次いで楽しみにしていた作品だった。とにかく作りが丁寧で、きちんと人間を描いているところが好きだった。当初の予定より短縮されたのは明らかなので、このドラマの完全版が見られないというのは残念で仕方がない。
確かに、手術シーンはちょっとエグいところもあった。8話になってしまったことで、テーマを広げすぎた印象もある。でも、『私の運命』『ハンドク!!!』『ギネ~産婦人科の女たち』なども書いてきた大石静だけあって、医療関係の部分は医者同士の対立なども描かれて面白かった。そして何より、マイノリティーに対する蔑視の問題、恵まれた者とそうでない者の価値観の違いなども絡めて、本当の幸せとは何かをじっくり描く内容は見応えがあった。6話の葵(北乃きい)と裕(綾野剛)のケンカなんて、本当に印象深いなあ。峯太郎(佐藤隆太)や睦(稲森いずみ)の変化も丁寧に描いてきたし、これを打ち切るなんて、本当にもったいない。
ドラマが打ち切りになる理由は、視聴率だけが問題とは限らない。このドラマの場合、美容形成を扱っていることもあって、化粧品も出している筆頭スポンサーは最初から提供クレジットに社名を出していなかった。そういう意味では、最初からプレッシャーはかかっていたようだ。ちなみに、その会社は『家族のうた』の放送枠も一社提供していて、フジテレビの偏向報道騒ぎの時には、一緒にデモによる抗議も受けていた。まあ、要するに、今回の打ち切りには、いろいろと大人の事情も絡んでいそうってことだ。
とにかく、『家族のうた』も『クレオパトラな女たち』もラスト1回。ぜひ制作現場の意地を見せて、チャンネルを合わせたコアなファンを楽しませる最終回にして欲しい。
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