今年10周年を迎える「AOMORI ROCK FESTIVAL ~夏の魔物~」の開催を記念して、主催者・成田大致(With 大内雷電)がリスペクトしてやまない人たちに会いに行く「夏の魔物10周年記念対談シリーズ」。

今回は、共に2006年に行われた伝説の第1回大会に出演しており、その後も度々出演しているTHE NEATBEATSMR.PANVo.Gt)とSCOOBIE DOのコヤマ シュウ(Vo)が登場。

「夏の魔物」を知り尽くしているお2人の口から飛び出した驚愕の新事実と抱腹絶倒の爆笑エピソードの数々を読めば、間違いなく今年の「夏の魔物」に足を運びたくなるはず。

“異色のロックフェス”って書いてあるけどさ、最初はまともなロックフェスやったよね?

MR.PAN:今マネージャーさんいるんだ?会わない間にすごく偉くなったね。

成田:いやいやいやいや(笑)!

コヤマ:まあまあ会ってるでしょ?年に1回くらい。親戚のおじさんくらいの感覚だよね。「偉くなったなあ」って。

成田:いやいや、偉くなってないですから(笑)。真鍋さんとの出会いは最初、THE NEATBEATSの『ATTENTION PLEASE!!』(2004年発売の7thアルバム)のときに俺がバンドで前座をやったんです。覚えてますか?

MR.PAN:覚えてるよ、THE WAYBARKのときだよね。それこそ親戚の子どもがバンドを始めたから一緒にやろうよって言われて行ったみたいな感覚やったね。

最初にフェスをやるって言ったときも、みんなは探り探りの感じやったと思うけど、たぶん俺らとかスクービーは「行ってやらなアカンやろ!」くらいの感じだったよね。

コヤマ:そうそうそう。

成田:ありがとうございます!

MR.PAN:最初のとき(2006年の第1回)にシナロケが出たよね。

俺はシナロケが出たときのMCが「夏の魔物」ではベストだと思っていて今でも覚えてるんだけど、鮎川さんがMCで(※鮎川さん風の口調で)「シーナ&ロケッツ、青森に上陸しました!」って言って、その流れの中で、「シーナ&ロケッツ、25年前に青森の上空を飛んで北海道に行きました!」って言っていて。

俺、25年ぶりに青森に来たっていうMCだと思って聞いてたら、青森の上空を飛んで北海道に行っただけで結局青森には来てなかったんだよね(笑)。

コヤマ:結局1回も来てなかったんだ? おしゃれな言い方だよね、要するに初上陸だもんね(笑)。でも、それくらい俺らも青森でのライヴはそんなに頻繁には行けてなかったからね。

MR.PAN:みんな、仙台、盛岡くらいに行くとその後、北海道行っちゃうから。

コヤマ:そうそう、だからみんな「来てくれないんすよ」って言ってて。距離的には北海道の方が遠いんだけど、青森の人からすると本当に誰も来ないっていう、俺らとの距離感というのがあって。だから行くだけで喜んでくれるっていうか。。

MR.PAN:(資料を見ながら)でもこれ“異色のロックフェス”って書いてあるけどさ、最初はまともなロックフェスやったよね?

コヤマ:どこらへんから変になっていったんだろうね?最初は結構硬派っていうかさ。

MR.PAN:そうそう、最初は結構ロックというかロックンロールな感じがあるやんか。

途中からすごい異色になったもんね。俺、そもそもTHE WAYBARKから『夏の魔物』に変わったあたりが全然わかってなくて。どこから『夏の魔物』に変わったの?

「本当に俺がやりたいのはこういうことなんです」って告げたら、メンバーが全員いなくなってしまった。

成田:これは去年(2015年)からです。

MR.PAN:去年?こんだけやってて最近なんや。なんの心変わりがあったの?だいぶ違うやん、名前(笑)。

成田:最初、フェスを立ち上げたときとか、それこそ高校時代にTHE NEATBEATSのフロントアクトをやったときは、お2人のようなロックンロールに憧れていて。

自分もそういうバンドをやりたいなと思っていたんですけど、メンバーとコミュニケーションが上手く取れてなくて。基本的に俺は酒もタバコもやらないんですけど、メンバーはどっぷりそういう世界観が好きでっていうのがあって。等身大の自分とメンバーとの壁みたいなものがどんどん出てきて。

矢沢永吉さんの会社(GARURU RECORDS)に一回入ったんですけど…

コヤマ:ああ~そうだよね。

成田:そのとき、矢沢さんの会社の人に「本当に俺がやりたいのはこういうことなんです」って告げて。そしたらメンバーが全員いなくなってしまって。

MR.PAN:そのとき、大致がやりたかったのが今の形ってことなの?

成田:はい、そうですね。

MR.PAN:それは、メンバー離れるよね(笑)?

コヤマ:ははははは!全然違うからね。

MR.PAN:それは最初に言っておかなっていう話やん、THE WAYBARKをやる前に(笑)。「俺はこういうのをやりたい」ということを。たぶん、最初から『夏の魔物』やりたかったんちゃうの?

コヤマ:でも、THE WAYBARK的なものもやりたかったんじゃないの?そういう憧れもあったわけでしょ?

成田:そうです、そうです。

MR.PAN:そっちもやってみて、「あ、ちょっと違うな~」って、自分が向いている向いていないっていうことに気付いたのかな?

コヤマ:ああなるほど、「好きなものとやるものは違う」みたいな。

成田:そうですね。 WAYBARK時代メンバー全員で革ジャンとかモッズスーツを着てましたが、なんか俺たちがやると違和感があって…。

あ、でも高校のときに今でも鮮明に覚えているんですけどMR.PANさんが革ジャンを着ていて、「カッコイイな」と思って次の日すぐに革ジャン買いに行ったんですよ(笑)。

MR.PAN:今まだこの写真を見ると革ジャン着てるから、その名残はあるよね。

成田:コヤマさんのようにスーツを着てライヴをやったりとかしてやっぱり選ばれし者しか着ちゃいけないなと思って見ればみるほど自分との……

コヤマ:あははははは!真面目だな~。

一同:(笑)。

「夏の魔物」に感じ取っているものは、最初は手作り感がすごくて、とにかくトラブルが多い(笑)

成田:お2人のライヴを観ればみるほど、自分と違うというかやりたいこととの壁に直面しましたね。

 ―そこを乗り越えてそっち側に行こう、とは思わなかったんですか?

 成田:いや、思わなかったですね。

MR.PAN:潔いいよね(笑)。

コヤマ:そうだよね、なかなかこの方向転換はできないよね。

MR.PAN:俺らもスクービーも「夏の魔物」に感じ取っているものは、最初は手作り感がすごくて、とにかくトラブルが多いということで。

あんまり覚えてはいないけど、時間が押すとか、喧嘩してるとか、楽屋の電気がないとか、焼いてるホタテが足りないとか。

一同:ははははは!

コヤマ:第1回目が2006年だから、俺らも当時から別のロックフェスって出させてもらってますけど、まあまあ成熟しているというかさ。

ノウハウをみんな知っていてやる側はみんな「これくらいは」って許容しているんだけど、そんなの全くないっていうか(笑)。

MR.PAN:そうそう、全員手探りみたいな。

コヤマ:「とりあえずやってみっか!?」って本当に始めちゃってるという(笑)。

ところが、最近ちょっとプロフェッショナルっぽくなってきてるんだよね。

MR.PAN:ところが、最近ちょっとプロフェッショナルっぽくなってきてるんだよね。

 ―“プロフェッショナルっぽく”ですか(笑)?

 MR.PAN:そう、そこが俺ら常連からすると逆にちょっと不満なんだよね。

「「夏の魔物」ってこんなにプロフェッショナルで良かったのか?どこに楽しみがあるんだよ!?」って。

コヤマ:いや、普通はそれでいいんだよ!

一同:(爆笑)

 ―回を重ねるごとに運営がしっかりした印象に変わって行ったわけですか。

 MR.PAN:運営がちゃんとしてきたというのは良いことでもあるんやけど、最初から俺らが出てる「夏の魔物」の懐かしさがなくなってくるよねっていう。演者の俺らが楽しめるところはそこなのよ。

「なんかトラブルあるかな」みたいな。

コヤマ:ははははは!

MR.PAN:一番ひどかったのはね、なんかスケート場みたいなところでやったよね?(※2008年開催の第3回大会 )それが俺の中では一番ひどい「夏の魔物」、ワーストだったね。

コヤマ:ワーストってことはそれがベストなんだよね。

MR.PAN:そうそうそう(笑)。この日もめちゃくちゃ押したよね?

成田:押しましたね。

MR.PAN:でもね、その年はLAUGHIN' NOSECHARMYさんがトリのくるりを観ながらちょっと頷いているという感動的なシーンを見たよ(笑)。LAUGHIN' NOSEがくるりに近づいたという。

コヤマ:普通ないよ?そんなフェス!

一同:わははははは!

MR.PAN:そんなことありえへんよね!?それで俺、CHARMYさんのところに行って、「CHARMYさん、くるり好きなの?」って聞いたら、「初めて観たけど、結構いいね」って(笑)。

コヤマ:ははははは!いい話だなあ~。

MR.PAN:「GET THE GLORY」な感じがようやく、くるりに(笑)。

コヤマ:交わってないからね?絶対(笑)。岸田くんはLAUGHIN' NOSEを知ってるとは思うけど。