映画『怒り』の初日舞台あいさつが17日、東京都内で行われ、出演者の渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すず、宮崎あおい、妻夫木聡、李相日監督が登壇した。
吉田修一氏の小説を映画化した本作は、1年前の未解決殺人事件を軸に、千葉、東京、沖縄を舞台にした三つの物語が紡がれる。
この日は、観客の質問に答える形でトークを展開。千葉編で親子役を演じた渡辺について問われた宮崎は「今日から映画が始まり、皆さんに見てもらえるのはうれしいけど、明日からもう父ちゃんに会えなくなっちゃうと思うとちょっと寂しいところがあって…」と声を詰まらせ、目を潤ませる場面もあった。
劇中では、東京の歌舞伎町の風俗店で働いていたものの、父・洋平に千葉に連れ戻される一人娘・愛子を演じた宮崎。渡辺について「現場でもすごく支えていただいた。私はいつも一人で居ることが多いけど、(今回は)隣にいすを置いて『ここに座っていなさい』と居場所を作ってくださって」と振り返り、「そこに座ってお父ちゃんとお話をした時間があったからこそ、愛子と父ちゃんの関係が出来上がったんだと思う。お父ちゃんに付いていけば大丈夫だという安心感がある。私は謙さんの娘を1回でも演じられたことが幸せです」と語った。
一方、渡辺も「彼女が“この役をやろう”という時に、覚悟みたいなものは言わずとも感じていた」と明かし、「俳優同士としても先輩としても(彼女を)きちっと見届けたい、サポートをしたいと思っていた」と述懐。「撮影は短かったけど、本当に濃密な時間だった」と語り、「まあ連絡をくださいね」と笑顔で付け足した。
また、同じく千葉編で共演した松山について、宮崎は「10年以上前に映画でご一緒した時は、役柄が線の細い少年の役だったので年下だと思っていた。今回、実は年上だと知った」と告白。また「とてもおしゃべりが好きでひょうひょうとしている。思ったことはすべて口に出してくれるとても気持ちのいい方。撮影中はすごく支えられた。とても頼りがいのあるお兄ちゃん」と印象の変化を語った。
松山は「昔ある女優さんと仕事をしていて『今まで会った役者さんの中で一番の変人は誰?』って話になった時、その女優さんは『あおいちゃん』って言っていた。当時は分からなかったけど、今回共演してみてその意味が分かった」と笑いを誘いながらも、「だから愛子を演じられたんだと思う。素晴らしい女優さん」と評した。