ラサール石井

作・鈴木聡×演出・ラサール石井×主演・戸塚祥太(A.B.C-Z)の舞台『阿呆浪士』が1月8日(水)に開幕する。稽古場にてラサール石井に話を聞いた。

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稽古が始まって「キャストが面白い。みんなうまいんですよ。若いメンバーも魅力がある人ばかりだし、重鎮たちもがんばっている。みんなの要素がうまく絡み合っていると思います」と手応えを語るラサール。主演は、A.B.C-Zのメンバーで、舞台『BACKBEAT』での好演も印象的だった戸塚祥太。さらに、舞台での活躍が目覚ましいふぉ~ゆ~の福田悠太、南沢奈央、乃木坂46の伊藤純奈ら若手と、浪曲師の玉川奈々福、竹内都子、小倉久寛らベテラン勢が顔を揃える。「戸塚くんがすごくがんばっています。馬鹿で弾けた人間を真面目に演じていて、観ていて面白い。戸塚くんはこういう芝居をやってこなかったそうですが、意外だと感じました。新しい姿が見られると思いますよ」

本作は、脚本の鈴木が主宰を務める劇団「ラッパ屋」の公演として1994年に青山円形劇場で初演、1998年にはTHEATER/TOPSという小劇場で再演されたが、今回は新国立劇場中劇場と劇場サイズは大きくなり、さらにパルコ・プロデュース作品でもある。作品にどんな変化をもたらしたか。「小さい劇場でやる作品として書かれた脚本なので、劇場が広くなるとテンポが悪くなってしまう。舞台上での移動にかかる時間も変わりますからね。それをできるだけ解消して、新国立劇場“中劇場”を“小劇場”のように見えるようにしました。歌や踊りも足して、エンターテインメント作品に仕上げています」

タイトルの『阿呆浪士(あほうろうし)』はもちろん“赤穂浪士(あこうろうし)”をもじったもの。以前はテレビドラマでもよくモチーフにされていたが、最近は赤穂浪士って?忠臣蔵って?という層も多い。「“仇討ち”の話だとわかってもらえるくらいの説明はつけますが、歴史的背景がわからなくても“エネルギーがあってかっこいいね”というものになればいいと思っています」。そのかっこよさとは?「コストパフォーマンスや忖度を考えずに突っ走る阿呆のかっこよさです。今は、できるだけ労力を使わず利益を得るのがよいという時代。でも実は、舞台や芸術は効率を考えたらやれないものです。観る方にも、一生に1回くらいはそういうこともあっていいかもなと思ってもらえたら」

公演は1月8日(水)から24日(金)まで東京・新国立劇場 中劇場、1月31日(金)から2月2日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演。

取材・文:中川實穂