『ウエアハウス-double-』より、平野良、 演出・鈴木勝秀 、小林且弥 撮影:源賀津己

鈴木勝秀が26年に渡り取り組んでいる実験的シリーズの最新作『ウエアハウス-double-』が東京・新国立劇場小劇場にて1月25日(土)から2月2日(日)まで上演される。二人芝居となる今作について、出演者の平野良と小林且弥、脚本・演出の鈴木勝秀に話を聞いた。

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稽古が始まって8日目のこの日、小林が「大変ですよ」と言えば、3人でははは!と笑う。鈴木は「26年、変化し続けているこの作品ですが、今回も今までとはまた違うテイストになっています」と話し、今回の魅力は“切なさ”。「この作品は怖いことになることが多いんだけど、ふたりがやると切ない。あとは、“お芝居してますよ!”という感じがないので、狭い劇場でやるのに非常にいいです。絶対にあり得ないような内容ですが、とてもリアルに感じられます」と語る。

共に二人芝居は初挑戦となる平野と小林。平野は「今回、二人芝居も初めてですし、スズカツ(鈴木)さんとも朗読劇以外では初めてで、普段あまりやらない会話劇ですし、コバカツ(小林)さんと一緒だし、新鮮で楽しいです。そのぶんいろんな課題がありますけど、稽古で克服していきたいです」。鈴木とは長い付き合いの小林は「スズカツさんの現場は、毎回新しい発見がありますし、役者がやりがいを感じる瞬間を用意してくださるんです。今回ももちろんそうですし、特にこの作品は、役者だったらみんなやりたいようなものだと感じます。だからやれることが嬉しいし、稽古場でも至福の瞬間が何度もあります」と充実している様子を見せる。

平野と小林が舞台で本格的に絡むのは今回が初めてだが、映像で共演したのは10年ほど前。「映像で共演したとき、良のことをすごく面白いことをする人だなと思っていました。予想しないようなことをやってくるんですよ。でもそういう芝居って往々にして作品の邪魔になったりするけど、良の場合は有機的だった。頭の良さを感じました。今回もクセになる“癖”があって、やばいときがあります(笑)」(小林)、「僕も当時、同じことを思っていました。“この人の芝居はなんなんだろう”って(笑)。でも、そのときに感じた匂い立つ芝居、嘘のなさは今回も感じます。やっててすごく楽しいです」(平野)と、共に共演を楽しんでいると言う。

同劇場にて鈴木作・演出の『る・ぽえ』と同時上演する本作。鈴木が「稽古は楽しいですけど、2本同時につくるっていうのが僕にとっての問題(笑)。ただ、ふたりとも非常にがんばっているし、残りの稽古で、ふたりが不安にならずに舞台に出ていけるよう準備ができれば何の問題もないです」と語る『ウエアハウス-double-』は東京・新国立劇場小劇場にて1月25日(土)から2月2日(日)まで上演。チケットぴあでは各公演前日23:59まで購入できる当日引換券が1月22日(水)10時より発売。

取材・文:中川實穗