柊子 撮影:川野結李歌

舞台『効き目の遅い薬』の東京公演が2月12日(水)より赤坂RED/THEATERで上演される。Team337の第4回公演で、阪神タイガースOBで俳優の嶋尾康史が演出を担当する。主演する柊子に、本作の見どころ、そして、自身の俳優としての展望を聞いた。

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本作は、『アンソロジー 嘘と約束』(アミの会(仮)編、光文社)の中にある、福田和代作の小説『効き目の遅い薬』を舞台化したもの。製薬会社の研究室に勤務しているアンクルこと井川由紀(柊子)のもとへ、大学時代からの友人、もっさんこと望田遼平(生田拓馬)がやってきて、とある頼みごとをする。井川は望田の熱意に押されて、その頼みごとを引き受けるが、すれ違う想いに小さな嘘が重なり、ふたりの運命は大きく変わっていって…。謎解きの要素もありながら、切なく複雑な恋模様を描いた作品になりそうだ。

柊子は「原作を読んだとき、すごく切ない気持ちになりました。ぎゅっと世界観が凝縮されている短編小説なので、舞台化は難しいかもしれないと思ったのですが、Team337らしさをプラスして、原作とはまた違う良さをお届けできたらと思います」と意気込む。チームとしては珍しく恋模様を描いた作品に挑戦ということで、「情感を大切にして演じたいです」とも話した。

現在28歳の柊子。舞台はもちろん、映画やドラマ、ラジオに出演し、作詞や小説執筆にも取り組み、活動の幅を広げる。「20代前半までは勢いや若さで何とか押し切ってきたものが、今は少し落ち着いて物事を考えられるようになりました。いただいたお仕事ひとつひとつに向き合いながら、そして出会いを大切にしながら、ひとつの枠にとどまらずにいたいです」。

そのなかでTeam337の公演は、柊子にとって「原点」のような存在でもある。「お芝居って楽しいなと純粋に思っていた頃の気持ちを思い出させてくれる場所ですね。Team337として年に1度しか公演ができていないけれど、各々のメンバーが別の現場でステップアップして帰ってくるので、毎年毎年、より良い公演ができていると信じています。続ける難しさもありますが、もっと頑張りたいと思います」と話す。

すでに大阪公演を終え、まもなく東京公演が開幕する。柊子は「今まではほっこりしていただけるような作品が多かったTeam337が、今回は切ない恋模様を描いた作品に挑戦します。一度でも見にきてくださった方はもちろん、これまで知らなかった方にもぜひ足を運んでいただきたいです。必ず損はさせないという気持ちで舞台を作っていますので、ご来場をお待ちしています!」と呼びかけた。

公演は2月12日(水)~16日(日)まで、東京・赤坂RED/THEATERにて。チケット発売中。

取材・文:五月女菜穂