フクオ&おソノ(魔女の宅急便)
魔女であるキキが修行のためにたどり着いたコリコの町で、温かく迎え入れてくれたおソノさんと、その旦那さんフクオさん。みんなが大好きなジブリ作品のなかでも、理想的な夫婦としてのイメージはちょっと薄いかもしれません。
でも、例えばおソノさんが「お礼もしたいしさ」とお店の営業中にもかかわらず、キキを家に招き入れるシーン。「お、おい」と止めに入りながらも、そのまま静観するフクオさん。かと思いきや、次の日おソノさんが「(キキが)店番をやってくれるなら、部屋代と電話代ナシでどう?ついでに朝ご飯も付ける」という提案に、フクオさんは若干驚きながらもクロネコのジジにウィンクをします。
妻のその場の決定に何もいうことなく、むしろキキが家に住むことを受け入れてくれるフクオさんは、かなりデキた旦那さんですよね。
また映画の終盤、お腹に赤ちゃんがいるおソノさんが、「あんた、産まれそうよ」というひと言に、慌てて電話?をしに行くフクオさん。産まれた赤ちゃんを優しくあやすフクオさん……と、いずれも何気なく描かれていますが。お互いに確かな愛情と信頼関係がなければ、成り立たない光景に思えます。
磯野波平&磯野フネ(サザエさん)
お茶の間でお馴染みの国民的アニメ『サザエさん』。マスオさんとサザエさんも仲良しですが、ふたりとはちょっと関係が違う波平とフネに着目してみましょう。亭主関白で威厳のある波平と、それをサポートするフネが印象的ですよね。
それこそ波平が帰ってきたら、フネが彼の背広を脱がすのを手伝って洋服タンスに入れる。これを結婚当初からずっとやって来ているかと思うと、それだけで夫婦関係の重みを感じさせます。
ただ、彼らを見ていて微笑ましいのは、昔ながらの夫婦像に収まっていないところです。
例えば、フネが波平の女性関係を疑うように、「どなたといらしていたんですか?」とピシャリと、冷静に問いただすシーン。多くは波平を立てるフネの姿が印象的ですが、時として夫婦の上下関係がいとも簡単に入れ替わる。
それは一見、亭主関白のように見えて、どこかで対等に相手と付き合っているからこそ、できるワザなのかもしれません。