モノを食べる時はね
誰にも邪魔されず
自由で なんというか
救われてなきゃあ
ダメなんだ
独りで静かで
豊かで……
(第12話「東京都板橋区大山町のハンバーグ・ランチ」より抜粋)
1994~96年に扶桑社の「月刊PANjA」で連載された『孤独のグルメ』。個人で貿易業を営む寡黙な男が、あちこちでただ“メシを食べる”という独特なタッチのハードボイルド・グルメ漫画だ。最初の単行本時は売れなかったのが、文庫化されてから人気が出て増刷を重ね、文庫版はすでに40刷を超えているという。現在は「SPA!」(扶桑社)誌上で連載再開され、特別編を加えた新装版コミックスも発売。ドラマCD化を経て今年ついに実写ドラマとなった。
この『孤独のグルメ』をメインに据えた、作画担当者・谷口ジロー氏の原画展が今月から開催されている。場所は都内、神保町駅にほど近い
明治大学米沢嘉博記念図書館 (https://www.meiji.ac.jp/manga/yonezawa_lib/)。『孤独のグルメ』ファンの記者としてはいてもたってもいられず、現地へ行ってきた。今回はそのレポートをお伝えしようと思う。
図書館1階の展示室(入場無料)へ足を踏み入れる。手前は常設展示スペースとなっており、右手にサブカルチャー系、左手に漫画系のレアな展示物が並ぶ。写真に収まっていないが左手奥にはこの施設名の由来となったコミケ(コミックマーケット)育ての親・米沢嘉博氏の業績を紹介するスペースもある。それ以外はすべて『孤独のグルメ』谷口ジロー原画展の展示だ。