2:「俺より稼ぐのが気に入らない」
35歳のある女性は、出産後もとの仕事に復帰し、時短勤務ながらバリバリに仕事をこなしていました。
「早くフルタイムに戻ってもっと仕事をしたい」のが妻の気持ちで、最初はそんな妻を夫は応援していたそうです。
風向きが変わったのは、子どもを保育園に預けて実際に夫と同じ勤務時間になってから。
仕事ぶりが認められて昇進がかなった妻は、出産前より忙しくなり子どものお迎えや家事の分担を夫にお願いするようになります。
それを聞いてくれる夫でしたが、自分のやることが増えるに従い、妻への態度が変わりました。
「世帯主は俺なんだけど」「家庭より仕事が優先なんて、母親としてどうなんだろうね」。そんな嫌味を言われ、妻は「でも、私の収入がないと生活できないし、家事も育児も協力するのが夫婦でしょう」と正論で返していました。
そんな妻の様子に「余計に機嫌を悪くした」夫でしたが、あるときから休日出勤が増えたことに妻は気が付きます。
当日になっていきなり「残業だから子どもの迎えに行けない」とLINEが来ることもあり、でも自分と同じように仕事なら仕方がない、と妻は割り切っていました。
それが仕事でないことが明らかになったのは、夫がお風呂に入っているときに鳴ったスマホの通知を見たとき。
そこには、「週末のデート楽しみにしてる！」と知らない女性からのメッセージが表示されていました。
「浮気しているんだって知ったとき、ショックで体が震えた」と妻は話しますが、急な残業や休日出勤が増えた理由が実は浮気であることがわかり、それから夫への嫌悪感を募らせます。
会話を避けるようになり、子どものお迎えや家事のお願いをしなくなった妻に、夫は何を勘違いしたのか「反省したのか」と声をかけたそうです。
それから、夫は堂々と女性からもらったハンカチや香水などを家に持ち帰るようになります。
妻が離婚届を渡したのは、「子どもへのお土産って、その女が買ったとしか思えないおもちゃを息子に渡すのを見て、もう我慢できなくなった」から。
どこまで私を馬鹿にする気なのだろう。今度は怒りで体が震える妻は、探偵事務所に頼んで手に入れたラブホテルに出入りするふたりの写真を突きつけ、離婚を迫ります。
そのとき、夫が言ったのは「俺より稼ぐのが気に入らなかった」という言葉。
以前は夫の収入に頼って生活していたのが、いつの間にか妻の収入が上回り、扶養を外れたことなどに劣等感を持っていたそうです。
もちろんそんなことが不倫を正当化する理由になどならず、妻は「離婚に同意しないのなら、相手の女性にも慰謝料を請求する」「調停を起こせば確実に私の主張が通る」と話し、しぶしぶ夫は離婚届に判をつきました。
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女性たちの話を聞いていると、「妻への劣等感や不満を正面から言い出せない夫の弱さ」を目の当たりにします。
浮気や不倫に走るのは、「妻を見返してやりたい」という歪んだ望み。
承認欲求を別の女性で満たそうとしても、そんな気持ちは必ずどこかで出るのだな、と実感しました。
「妻より上」を実感したくて浮気や不倫に走っても、最後に離婚されれば自分で自分の首をしめることと同じです。
その現実に気が付かないのが、何より劣等感を抱える夫の弱さなのだなと思います。
