Q3.敷居が高そうと敬遠しがち。歌舞伎鑑賞ならではのマナーを教えてください。
歌舞伎ならではの最注意事項は「大向う(おおむこう)」です。
歌舞伎では上演中の役者さんに向かって「成田屋!(市川海老蔵)」「音羽屋!(尾上菊五郎)」と声援する文化があり、これを「大向う」といいます。役者さんは「どうぞお気軽に」とサービストークもされますが、それほど簡単なものではありません。
少し前に「唐揚げに勝手にレモンをかけるのはマナー違反」ということが世間の話題にあがりましたが、大向うも同じです。みんなで食べる大皿料理に勝手気ままにスパイスや薬味をかけるわけにはいかないですよね。
主役はあくまで役者さんですから、役者さんが輝いて見えるように声をかけなければいけません。
感動した時に思わず出る声なら不快ということはないでしょうが、「ひとつやってやろう」といった独りよがりの大向うは、たった一声で舞台を台無しにしてしまうこともあるのだと心得て頂きたいところです。
Q4.何を着ていけばいいのか迷います…
あまり難しく考えすぎずに、「初めてのデートに着ていく服」というのはどうでしょうか。
例えば、好きな人と美術館やおしゃれなレストランに出かけるんだ、と考えてみるとイメージがわいてきませんか? 穴あきジーンズや短パンにサンダルではラフすぎますが、着こなしが良ければジーンズでも大丈夫です。
観劇時間は長いので、あまり頑張りすぎずリラックスできて清潔感のある服装が良いと思います。
ところで「せっかく歌舞伎に行くなら」と、「着物」を着たい方に注意してほしいことが3つあります。
一つ目は「髪型」。高く盛るのはNGです。後ろの席の人が何も見えなくなってしまいますから。
二つ目に「帯」。「お太鼓結び」という、椅子の背もたれに寄りかかれる結び方をお勧めします。
「花結び」のような、立体的な結び方をしてしまうのはNG。劇場の席はきちんと背中をつけて見ることを前提に設計されているので、浅く座ると後ろの人が見えなくなってしまうんです。
これは大切なマナーとして心得ておきたいですね。せっかく着物を着ていても「野暮ね」と言われかねません。
三つ目に「浴衣」。夏場に浴衣は可愛らしいものですが、洋服で言えばスウェットのようなカジュアルファッションなので、残念ながら歌舞伎座の一等席に座るには相応しくありません。着物のマナーに厳しい方もいらっしゃいますから気をつけてください。
Q5.歌舞伎座内の一推しグルメや、お土産を知りたいです。
三階ロビーにある「めでたい焼き」が、私のお気に入りです。餡と一緒に紅白の小さなお餅が入っていてお腹も満足させてくれます。
休憩時間に合わせて焼きたてが食べられるのも嬉しく、早く行かないといつも売り切れになる超人気商品です。5個から予約もできますから、お土産にも良いですよ。
一階売店の「もなかアイス」も注文してから作ってくれるので、パリパリのもなかとアイスの組み合わせがたまらない一品です。
ゆっくりしたい方には一階奥の「喫茶室 檜」がオススメです。こちらには、サンドイッチなどの軽食があります。置いているケーキもどれも美味しいですが、私のお勧めはリンゴのタルトです。
上演時間は長いので、休憩時間のこうしたリラックスタイムもしっかり楽しみたいですね。