Q6.これから観るなら、どんな演目がお勧めでしょうか?
ちょうど3月に、市川海老蔵さんが「助六由縁江戸桜」という、市川家にとって大切な演目に出演します。
“助六“は、海老蔵さんの当たり役であり、彼は当代一の助六役者です。
また、この演目は「河東節」という音楽で演じるのですが、今年はこの河東節が生まれてちょうど三百年の年でもあります。
吉原の郭文化を描いたこの作品は、衣装もたいへん美しく、とにかく歌舞伎を見るなら、かならず見ておくべき演目です。
背景を知って見ると一味も二味も違いますから、歌舞伎座に着いたら必ず「筋書き」を買ってあらすじをチェックしてください。
Q7.歌舞伎初心者へメッセージをひとことお願いします。
「歌舞伎はロック!」という言葉をお贈りします。
なぜか難しいというイメージのある歌舞伎ですが、それは大きな誤解。もともとはストリートパフォーマンス的に始まり、その時々の流行や庶民生活を反映して発展してきました。
明治時代には、シェークスピアの翻訳物「葉武列土倭錦絵(はむれっとやまとのにしきえ)」なんて芝居が書かれていたりもするんです。
毎年のように新作も誕生する他、今年の秋には、市川猿之助さんのスーパー歌舞伎II『ワンピース』の再演が決まっています。
こう考えると、歌舞伎はクラシックというより、やはりロックなんです。古典へのリスペクトは重要な核ですが、一方で、歌舞伎には“革新”というスピリットがあるんですね。
その精神に触れることは、とても刺激的ですし「こんなに面白いものを日本人は作ってきたんだ」と驚かれると思います。ぜひ先入観なしに、自分の感性で楽しんでいただきたいと思います。
なるほど、歌舞伎はロックなのですね。知られざる歌舞伎の世界の魅力をたくさんお話くださった堀越さん、ありがとうございました!
取材協力:歌舞伎大向弥生会 会員 堀越一寿氏